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MBTI勇者〜同じストーリーで勇者の性格が変わったら〜  作者: 亀丸物産


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15/18

第15話 異世界に転生した俺、勇者になる(ISFP / 冒険家 ver)

 佐藤悠、二十八歳。

元・インテリアデザイナー。風の音や空の色、日常のささやかな美しさに心を動かされる、穏やかで自由な男だった。

トラックに跳ねられ、白い空間で女神から「勇者として魔王を討伐してほしい」と言われた時も、俺の心は驚きよりも世界の美しさへの期待で揺れていた。


「異世界……どんな空が見られるんだろう。……魔王討伐ですか? 誰かを傷つけるのはあまり好きじゃないけれど、その世界の人たちが困っているなら、俺のペースで助けてみます」

「勇者様……なんてしなやかで温かい感性をお持ちなの……!」


 授与されたチート能力を「世界を彩る絵の具」のように受け止め、俺はふわりと異世界へ舞い降りた。

     

 森で襲いかかってきた巨大な狼に対し、俺は武器を構えるのではなく、チート能力の『感覚同調』を放った。


「綺麗な銀色の毛並みだね。……でも、すごく寒くて寂しかったんだろ?」


 俺の静かな声と穏やかな波動に、狼は牙を収め、そっと鼻先を俺の手に寄せてきた。俺はポケットにあった特製キャンディを分け合い、一緒に森の風を感じながら歩き出した。


 ペンダントの存在を気にも留めず、通りかかる街で風景のスケッチを描いたり、困っている人の心を治癒魔法で癒やしたりしていた俺の噂は、「風のように自由な癒やしの勇者」として王城まで届いた。


 玉座の間。重々しい雰囲気の中、金髪の王女エレナが硬い表情で立っていた。

俺は彼女の前に歩み寄ると、庭園に咲いていた一輪の蒼い花を差し出した。


「エレナ様。この城の庭に咲いていた花です。あなたの瞳と同じ、綺麗な青ですね」

「えっ……? 私の、瞳……?」


 思いがけないプレゼントに、エレナの頬がぽっと赤らみ、固く閉ざされていた心がふっとほぐれていった。

剣士レオン、忍者ミア、魔法使いリリアも「この人と一緒にいると、心が軽くなる」と、俺の静かなペースに心地よさを感じてくれた。

     

 俺たちの旅は、世界の美しい色彩を集める「お散歩のような冒険」だった。


「悠! 隣の村が魔物に襲われてる!」

「大丈夫、焦らなくていいよ。……ほら、あの森の光の道を抜ければ、一番早く着くから」


 俺は直感と鋭い感性で世界の違和感を察知し、美しいルートを選んで被害を食い止めた。戦う時もチート能力の『空間描画』で色彩豊かな光の壁を作り、洗練されたしなやかな動きで敵の戦意を奪っていった。


 野営の夜。俺がスケッチブックに旅の景色を描いていると、エレナがそっと隣に腰かけた。


「悠様のお描きになる絵は、本当に温かくて素敵です。旅の恐怖を忘れてしまいそう……」

「この世界は、思っている以上に綺麗だからね。……魔王を倒したら、エレナ様に見せたい景色がたくさんあるんだ」

「私に……ですか? ふふ、約束ですよ。どこへでも連れて行ってくださいね」


 夜空の星々に照らされたエレナの横顔があまりにも美しく、俺はそっとその姿をスケッチに描き加えた。

     

 魔王城、玉座の間。


「よく来たな、勇者よ――」

「魔王。ここは寒くて、暗すぎるよ」


 俺は静かにチート能力を全開にし、スケッチブックを開くように光を解き放った。


「な……なんだこの光は!? 我の闇を塗りつぶしていくというのか!?」


「この世界には、青い空も、緑の森も、赤い花もある。……なのに、どうして全部を黒く塗りつぶすんだ?お前の闇も、塗り重ねて新しい色に変えてあげるよ」


 俺が解き放ったのは、旅の中で出会った美しい景色と感情が紡ぐ『七色の浄化キャンバス』。

禍々しい魔王城が、色鮮やかな光の花々で満たされていく。


「馬鹿な……我が闇が……こんなにも美しく消えていくなど……ッ!?」


 魔王の邪念は争うこともなく、圧倒的な芸術的感性と光の波に包まれて、綺麗な粒子となって霧散した。

戦いというより、まるで一枚の美しい絵を完成させるかのような討伐だった。

    

 それから一年。

世界のあちこちに美しい花と笑顔が戻った頃、俺は王城の静かなアトリエで絵を描いていた。


「悠様」


 美しいドレスに身を包んだエレナが、恥ずかしそうにアトリエの扉を開ける。


「私……あなたが好きです」


 彼女は頬を真っ赤にしながら、澄んだ瞳で伝えてくれた。


「勇者だからではありません。私の世界に見たこともない綺麗な色をくれて、自分らしく生きる自由を教えてくれた……佐藤悠というアーティストのあなたが、心から大好きです」


 俺はキャンバスから筆を置き、立ち上がってエレナを優しく抱きしめた。


「エレナ……俺のキャンバスには、いつだって君が一番輝く色として描かれているんだ。これからも俺の隣で、世界中の美しい景色を一緒に見よう」

「悠様……ッ! はい!」


 アトリエの窓から温かな光が差し込み、二人の姿を優しく包み込んだ。


 こうして俺は――。

豊かな感性と自由な心で世界と向き合い。

美しくしなやかな力で魔王の闇を塗り替え。

そして――世界で一番美しい景色を、一番大切な人と見続ける未来を手に入れた。

ISFP(冒険家)

・特徴:感性豊か、自由、美意識

・活躍スタイル:世界の美しさや色彩を愛する芸術家。「七色の浄化キャンバス」で魔王の闇を塗り替える。

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