↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MBTI勇者〜同じストーリーで勇者の性格が変わったら〜  作者: 亀丸物産


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
12/18

第12話 異世界に転生した俺、勇者になる(ESTJ / 幹部 ver)

 佐藤悠、二十八歳。

元・現場施工管理のプロジェクトマネージャー。計画の遅れ、規律の乱れ、責任の曖昧さを何より嫌う男だ。

トラックに跳ねられ、白い空間で女神から「勇者になって異世界を救ってほしい」と要請された時、俺は速やかに状況を整理した。


「引き受けよう。ただし、目標達成に向けた指揮系統の統一と、リソースの適正配置に関する権限はすべてこちらに一任してもらう。途中で口を挟むな」

「あ……はい! お願いします勇者様!」


 授与されたチート能力を「工事用の重機」と同じツールとして分類した俺は、迷うことなく異世界の現場へと踏み出した。

    

 森で襲いかかってきた巨大な狼に対し、俺は眉一つ動かさなかった。


「現場での不安全行動は即座に排除する」


 チート能力『重力圧破』を即座に発動。狼の頭上に垂直の圧力をかけ、身動きを完全に封じ込めた。


「よし、危険源の無力化完了。これより第一街への進行を開始する」


 胸に掲げたペンダントで身分を証明し、門番へ迅速な引き継ぎを実施。そのまま王城へと直行した。


 玉座の間。国王が「勇者よ!」と大袈裟に手を広げたが、俺はそれを遮り、隣に立つ金髪の王女エレナと兵士たちを見渡した。


「王家および軍の最高責任者に報告する。これより魔王討伐プロジェクトを始動する。……エレナ姫、君には後方支援部隊の総責任者として、物資調達と前線拠点の整備を命じる。異論はあるか?」

「えっ……!? あ、はい! 喜んでお引き受けします!」


 突然の指示にもかかわらず、堂々とした俺の態度にエレナは背筋を正した。

剣士レオン、忍者ミア、魔法使いリリアにも即座にタスクを割り振る。


「レオンは前衛の壁、ミアは索敵と情報収集、リリアは中距離火力だ。各員、自身の役割を完遂せよ。ただし、問題が発生した場合は隠すな。報告さえあれば、俺が責任を取る」


「「「はいッ!!」」」


 統率された組織のギアが、音を立てて噛み合い始めた。

     

 俺たちの旅は、徹底した「工程管理と進捗徹底」の行軍だった。


「悠! 隣の村が魔物に襲われてる!」

「動揺するなリリア。緊急対応マニュアルに基づき、第2小隊(レオン・ミア)を即座に救助へ派遣する。俺とリリアは村の防衛線を構築。標準作業手順に従って15分で処理する!」


 事態が発生するたび、俺は曖昧な判断を許さず、明確な指示を出して迅速に解決した。

徹底したリスク管理と規律ある運用により、プロジェクトの遅延は「ゼロ」、被害も「最小限」に抑えられた。


 野営の夜。進捗管理表にチェックを入れていると、エレナが報告書を持ってやってきた。


「悠様、明日の補給物資の手配、すべて完了いたしました。……悠様が指揮を執ってくださってから、軍もパーティーも、迷いなく動けています」

「当然だ。リーダーがブレれば現場が混乱する。……エレナ、君の報告書の精度と段取りの良さは評価に値する。見事だ」

「ふふ、悠様に褒めていただけるなんて光栄です。……このプロジェクトが終わったら、私に何かご褒美をくださいますか?」

「成果を上げた者には相応の報酬(インセンティブ)を与えるのが筋だ。望むものを考えておけ」


 エレナは嬉しそうに微笑み、「はい!」と力強く返事をした。

     

 魔王城、玉座の間。


「よく来たな、勇者よ――」

「無駄話の時間は組んでいない。これより討伐作業を開始する」


 俺はカウントダウンを開始した。


「リリア、範囲遮断展開! ミア、脚部への行動阻害! レオン、突撃で体勢を崩せ!」

「な……なんだこの無駄のない動きは!? 貴様ら、人間か!?」


 魔王が技を繰り出すよりも早く、寸分の狂いもない連携攻撃が叩き込まれる。

魔王が予測外の攻撃を繰り出しても、


「予定変更だ! ミア、作戦Bへ移行! レオンはそのまま持ち場を維持、リリアは俺の合図まで撃つな!」


 悠の臨機応変な指示で魔王を徐々に追い詰めていった。

 

 仕上げに俺がチート能力を全開にした断罪の剣を振り下ろした。


「作業完了だ!」

「グアアアアッ!? 我が討伐工程に組み込まれていただとぉぉぉ!?」


 魔王は反撃の機会すら与えられず、計画通りのタイムスケジュール内で消滅した。

所要時間、想定通りの11分45秒。

     

 それから一年。

俺は王国の内務大臣兼総司令官として、国の法秩序と組織改革を完璧に成し遂げていた。

王城の庭園。定刻通りに現れたエレナ。


「悠様」


 最高級のドレスに身を包んだ彼女が、俺の目の前に立つ。


「私……あなたが好きです」


 彼女は誇り高く、真っ直ぐな瞳で告白した。


「勇者だからではありません。厳しい規律の中に確かな責任感と優しさを持ち、私やこの国を完璧に導いてくれた……佐藤悠という最高の上司であり、一人の男性を愛しています」


 俺は進捗表を閉じ、彼女の前で胸に手を当てた。


「エレナ。討伐プロジェクト達成のインセンティブだが……『俺の伴侶となる権利』で合意できるか?」

「え……? それって……!」


「計算も根回しも終わっている。……だが、一つだけ計算できなかったことがある。」

「何でしょう?」

「俺自身が、君を失いたくないと思っていることだ。」


「だから……俺の伴侶になってくれ。」


 俺は彼女の手を引き寄せ、固く抱きしめた。


「悠様……ッ! はい、喜んで!」


 こうして俺は――。

圧倒的な統率力と規律で組織を動かし。

完璧な工程管理で魔王軍を迅速に無力化し。

そして――。

世界で最も信頼できる最高のパートナーと、これからも共に未来を築いていくことになった。

ESTJ(幹部)

・特徴:統律、実務能力、結果重視

・活躍スタイル:徹底した工程管理とタスク分配。遅延・無駄ゼロの最短タイムスケジュールで攻略。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。