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MBTI勇者〜同じストーリーで勇者の性格が変わったら〜  作者: 亀丸物産


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第11話 異世界に転生した俺、勇者になる(ISFJ / 擁護者 ver)

 佐藤悠、二十八歳。

元・経理部の事務員。目立つことは苦手だが、誰かの手助けをし、感謝されることにささやかな喜びを感じる人間だった。

トラックに跳ねられ、白い空間で女神から「勇者になって世界を救ってほしい」と頼まれた時も、俺の第一声は困惑と気遣いだった。


「俺みたいな普通の人間でいいんでしょうか……? でも、女神様が困っているなら、俺にできる限りのことでお手伝いします」

「勇者様……! なんてお優しい方なの……!」


 授与されたチート能力を「大切な人たちを守るための盾と薬」として受け取り、俺は静かに異世界へ降り立った。

     

 森で襲いかかってきた巨大な狼に対し、俺は武器を抜くのではなく、チート能力の『絶対防御結界』を広げた。


「怪我はない? 驚かせてごめんね」


 狼の爪を優しく受け止め、アイテム収納から取り出した手作りの干し肉をそっと差し出す。

脅威ではないと悟った狼は、すっかり毒気を抜かれて耳をパタパタと寝かせ、俺の裾を引っ張って森の出口まで案内してくれた。

ペンダントは大切にポケットへしまい、街に入った俺は、冒険者ギルドの掃除や傷ついた駆け出し冒険者の手当てなど、裏方の支援に没頭した。その甲斐甲斐しい姿と圧倒的な治癒能力が話題を呼び、噂を聞きつけた王城から招かれることとなった。


 玉座の間。国王の後ろで不安そうに身を縮めていた金髪の王女エレナの姿を見て、悠の胸はギュッと痛んだ。


「初めまして、エレナ様。温かいスープとお茶を用意しました。お口に合うといいのですが……」

「えっ……? 私に、ですか……?」


 重圧で食事が喉を通らなかったエレナは、俺が渡したスープを口にすると、涙をポロポロとこぼした。

剣士レオン、忍者ミア、魔法使いリリアも「悠の作った飯とサポートがあれば、どんな戦いも怖くない!」と、俺を温かくパーティーの中心に迎え入れてくれた。

    

 俺たちの旅は、全員が無事でいられることを一番に祈る「温かい家族のような旅」だった。


「悠! 隣の村が魔物に襲われてる!」

「みんな、絶対に無理はしないで! 俺の結界と回復魔法で全員守るから!」


 俺は前線で戦う仲間たちのバックアップに徹した。完璧なタイミングでのバフとヒール、細やかな装備の手入れ、栄養満点のご飯。俺の献身的な支えのおかげで、パーティーの誰も傷つくことなく旅は進んだ。


 野営の夜。


「悠、今日は俺たちが見張りをするわ。いつも悠に頼ってたしな」


 レオンが見張りを買って出た。


「でも……」


「たまには俺たちにも、お前を守らせてくれ」


 仲間に説得され、焚き火の傍らで仲間たちのほつれた服を縫い直していると、エレナがそっと隣に座り、俺の手元を見つめた。


「悠様は……いつもご自分のことより、私たちのことばかりですね」

「みんなの笑顔を見ているのが、一番安心できるんです。エレナ様が疲れた顔をしていないか、そればかり気になっちゃって」

「ふふ……本当に優しいお方。……この戦いが終わったら、また悠様の手料理を食べさせてくださいますか?」

「もちろんです。エレナ様が望むなら、毎日でも作りますよ」


 エレナは嬉しそうに微笑み、俺の腕にそっと寄り添った。

     

 魔王城、玉座の間。


「よく来たな、勇者よ――」

「仲間には……指一本触れさせない!」


 魔王が放つ漆黒の猛攻に対し、俺は前に出た。

チート能力を全開にし、味方全体を包み込む『ガーディアン・フィール(絶対守護領域)』を展開する。


ドガァァァン!!


 魔王の最大魔法が直撃するが、俺の展開した結界はヒビ一つ入らない。


「な……馬鹿な!? 我が全力が防がれただと!?」

「みんなを傷つけさせない……それが俺の役割だ!」


 俺が完璧に魔王の攻撃を受け止め、仲間を守り抜く。


「なぜ攻撃しない!? 貴様も勇者なら我を倒せ!」


「俺は誰かを傷つけるために強くなったんじゃない。大切な人を守るために強くなったんだ」


 悠が作った隙をつき、レオンとリリア、ミアが全力を叩き込む。

仕上げに俺が放った浄化の光が魔王を包み込んだ。


「誰も奪わせない……誰も死なせない……!」

「ぐ、グアアアッ……この温かい障壁は……何なのだぁぁぁ!?」


 魔王は俺の守護の光の中に消滅した。

仲間を一傷も負わせない、完全防衛の討伐だった。

    

 それから一年。

平和になった王国で、俺は王城の小さなお庭で、旅の仲間やエレナのために手作りのお菓子を準備していた。


「悠様」


 綺麗なドレスを着たエレナが、お庭へやってくる。


「私は……あなたが好きです」


 彼女は両手を胸の前でギュッと握り締め、真っ直ぐな瞳で伝えてくれた。


「世界を救った勇者だからではありません。いつだって自分のことを後回しにして、私の心と体を温かく守り続けてくれた……佐藤悠さんという男性が、心から愛おしいです」


 俺は手に持っていたトレイを置き、真っ赤になりながらエレナの手を優しく握り返した。


「エレナ様……いいえ、エレナ。俺もです。これからはずっと、あなたの隣で、あなたの日常と笑顔を守らせてください」


「悠さん……ッ!」


「エレナ……これからも、毎朝ちゃんと朝ご飯を作ってもいいですか?」


「はい……! 毎日、お願いします」


 エレナの目から溢れる温かい涙をそっと拭い、俺は彼女を優しく抱きしめた。


 こうして俺は――。

控えめな優しさと圧倒的な献身で仲間を支え。

誰も傷つけさせない絶対の守りで魔王を退けた。

そして――守り続けた最愛の人と、穏やかな日々をこれからも重ねていく幸せを手に入れた。

ISFJ(擁護者)

・特徴:献身的、謙虚、配慮深さ

・活躍スタイル:仲間や大切な人の日常を守る裏方。「絶対防御の結界」とサポートで全メンバー無傷。

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