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MBTI勇者〜同じストーリーで勇者の性格が変わったら〜  作者: 亀丸物産


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第10話 異世界に転生した俺、勇者になる(ISTJ / 管理者 ver)

 佐藤悠、二十八歳。

元・公務員の事務職。手帳と仕様書を肌身離さず、規律と秩序を守ることを信条として生きてきた。

トラックに跳ねられ、白い空間で女神から「勇者として魔王を討伐してほしい」と要請された際も、俺は姿勢を正して確認を行った。


「承諾します。つきましては、異世界における基本法規、魔王討伐業務の業務委託仕様書、および労災保険適用の有無についてご教示いただけますか」

「えっ……あ、規約ですか!? えーと、神の加護としてチート能力を付与しますので……!」

「了解しました。与えられた能力のリソース管理と運用マニュアルを作成し、厳格に業務を遂行します」


 俺は女神に深く一礼し、整然とした意識のまま異世界へと降臨した。

   

 森で襲いかかってきた巨大な狼に対し、俺は冷静に『冒険者ガイドブック(自作)』を開いた。


「事象:大型魔獣の奇襲。対応手順:基本防御陣形をとり、最小限の魔力で無力化する」


 チート能力の『精密打撃』を発動。狼の急所を的確に外した麻酔撃ちで、狼を即座に睡眠状態へと移行させた。


「脅威の排除完了。記録:所要時間12秒、魔力消費0.5%」


 俺は首のペンダント(勇者の身分証明書)を規律に従って提示し、門番へ正規の立ち入り手続きを行った。身分が証明されたことで直ちに王城へ案内される。


 玉座の間。国王から討伐の勅命を受けた俺は、隣に立つ金髪の王女エレナに向かって敬礼した。


「勇者佐藤悠、ただいま着任いたしました。エレナ姫殿下、ならびに同行する仲間たち――レオン殿、ミア殿、リリア殿。規律を守り、安全第一で任務を達成することを誓います」

「あ……はい! とても誠実な方なのですね、悠様」

エレナは少し驚きつつも、安堵したように胸を撫で下ろした。

    

 俺たちの旅は、徹底した「スケジュール遵守と安全第一の行程」だった。


「悠! 隣の村が魔物に襲われてる!」

「落ち着きなさい、リリア殿。本日の予定には『A3ルートの警戒巡回』が組み込まれている。急患・緊急事態の対応マニュアルに基づき、直ちに救助へ向かう」


 突発的な事態にも事前に作成した緊急対応プランで迅速に対処。日々の訓練、装備の点検、夜間の交代制見張りなど、俺の徹底した管理により、パーティの事故・負傷率は常時「ゼロ」を維持した。


「悠! あの山の向こうに珍しい魔物がいるって!」


エレナは興味津々だ。


「予定にはありません」


「でも面白そうです!」


「予定にはありません」


「一生に一度かもしれないですよ?」


「…………」


「たまには、寄り道してもいいんじゃないか?」


 レオンの助け舟。


「悠?」


「……予定を十五分変更します」


 規律人間にも、そんな一面があったらしい。


 野営の夜。定刻通りに日誌を書き終えた俺のもとへ、エレナが温かいお茶を持ってやってくる。


「悠様、本日もお疲れ様でした。いつも皆の安全と規則を第一に考えてくださって、ありがとうございます」

「当然の義務です。任された業務(魔王討伐)を無事に遂行し、全員を無傷で生還させることが私の責任ですから」

「ふふ……本当に真面目なお方。……悠様、この任務が終わったら、ご自分のための時間も作ってくださいね」

「姫殿下のお言葉、心得ました。……その際は、姫殿下のスケジュールも頂戴してもよろしいでしょうか」


 エレナは驚いた後、嬉しそうに微笑んで「はい、喜んで」と頷いた。

    

 魔王城、玉座の間。


「よく来たな、勇者よ――」

「魔王。討伐前の手順として、最終勧告を行う。直ちに無条件降伏に応じるか?」

「な、何だと……!? ふざけるな、我が降伏などするか!」

「交渉決裂。業務手順書第4条に基づき、武力による無力化を開始する」


 俺は時計で時刻を確認し、指を掲げた。


「レオン殿、予定通り左翼の抑え。リリア殿、後方から定期支援魔法。ミア殿、側面よりトラップ解除。エレナ姫殿下、全体の防壁維持。俺は中央より本撃を叩き込む」


 寸分の狂いもない連携と、日々鍛錬を重ねたチート能力の正確無比な行使。魔王の繰り出す攻撃は、すべて事前に想定された範囲内として完璧に防御された。


「なんだ、この統率の取れた攻撃は!?これならどうだ!」


「想定外の魔力反応……」

「……過去の魔獣討伐記録に類似例がある」


「馬鹿な……何の隙もないだと……!? グアアアアッ!」


 俺の一撃が魔王の核を正確に貫く。

所要時間、予定通り14分30秒。完全なるマニュアル通りの勝利だった。

     

 それから一年。

平和が戻った王国で、俺は復興省の長官として書類整理と制度設計に勤しんでいた。

王城の庭園。約束の時刻、ジャスト15時00分。


「悠様」


美しいドレスに身を包んだエレナが、約束通りやってきた。


「私は……あなたが好きです」


 彼女は背筋を伸ばし、誠実な瞳で伝えてくれた。


「勇者としての功績だからではありません。どんな時も約束を守り、愚直なまでに真面目に私や世界を守り抜いてくれた……佐藤悠という男性を、心から信頼し、愛しています」


 俺は手帳をポケットに収め、彼女の前で深く一礼した後、その手を恭しく取った。


「エレナ姫殿下。……いいえ、エレナ。あなたを生涯守り抜くこと。それは私にとって、最も大切な責任であり――同時に、心から望んでいることです」


「悠様……ッ!」


 エレナの目から溢れた感動の涙をそっと拭い、俺は彼女を静かに抱きしめた。


 こうして俺は――。

規律と圧倒的な誠実さで信頼を重ね。

完璧な計画と準備で魔王を粛々と討伐し。

そして――生涯をかけて守るべき、最愛の妻との約束を果たした。

ISTJ(管理者)

・特徴:誠実、規律重視、責任感

・活躍スタイル:業務手順書と安全第一の徹底。事故率ゼロ・マニュアル通りの確実な手順で達成。

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