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フェルネスの受難――皇女さまはあきらめない――孤独な抵抗  作者: 鶴見 日向子


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3/22

エリザベスの勘違い

なぜフェルネスを女だと信じ切る?

カイレスと同じ年齢?と思えないほどの幼さ・・・

フェルネスは、取っていた宿へ戻った。


「もう一部屋、この女性用に取ってくれ」


フェルネスが宿の主人に言うが、


「あいにく満室です」


その答えに、フェルネスの肩が落ちた。


だが、仕方がない。


エリザベスを自分の部屋へ連れて行く。


「私は床で寝るから、そなたはベッドで寝なさい。先に風呂へ入ってくれ。寝間着は、そこにあるものを着ればよい」


「大きいよ、これ」


エリザベスが、ベッドの上に置いてある寝間着を広げて言った。


「私のだ。仕方あるまい。洗濯はしてある」


フェルネスは溜息をつく。


「なんでフェルネスは、そんなに背が高いの? いいなあ……僕もそれくらいになりたかった」


「私は高すぎる。普通がよい。さっさと風呂に入れ。私が入れぬ」


「え? 一緒に入ろうよ。男の格好をした女同士、いいじゃん。裸の付き合いだ」


エリザベスが嬉しそうに言う。


フェルネスの顔が激しく歪んだ。


放り出したい。


だが、夜の街は若い女性には危険すぎる。


「もうよい! 私は寝る!」


そう言って、フェルネスはそのまま床へ転がった。


ソファーでは窮屈なので、床に寝転がるしかない。


野宿にも慣れているため、別に何とも思わなかった。


「えー、もっとおしゃべりしようよ! 『仲間』なんだから」


エリザベスがベッドから離れ、馴れ馴れしくフェルネスの胸を押した。


「やめぬか!」


挿絵(By みてみん)


フェルネスがエリザベスの手を払う。


「あれ? フェルネスって、胸が全然ないんだね。かわいそう……」


フェルネスは寝転んだまま、無言で魔法を使い、明かりを消した。


『寝ろ』


という合図のつもりだったのだが、


「一緒にベッドで寝ようよ。『仲間』じゃん」


暗闇の中から、エリザベスの声が聞こえてくる。


「フェルネスは好きな人いないの? 婚約者はどんな人だったの? やっぱりじじい?」


フェルネスは返事をせず、黙っていた。


そのうち、ベッドの上から寝息が聞こえてきた。


フェルネスは胸をなで下ろし、自分も眠りについた。


念のため、「身の保全」のバリアを張ることも忘れなかった。


また体を触られたら、たまったものではない。


◇


フェルネスが目を覚ますと、エリザベスはまだ眠っていた。


フェルネスは風呂に入りたくなった。


魔法で体を清めることもできるのだが、本物の湯で洗い流したかった。


長い髪が鬱陶しい。


べたべたと顔に張り付く。


脱衣所へ入ると、しっかり鍵をかけた。


鏡の前には、髭を剃るのにちょうどよさそうなカミソリが置いてあった。


「おや? ずっと置いてなかったのに?」


あまり深く考えず、それを手に取る。


「これで髭が剃れる」


「髭剃り」を買おうとしたのだが、なぜか、どこにも売っていなかったのだ。


「まったく、これのどこが『付け髭』なのだ」


そう言って石鹸を泡立て、全身を洗う。


その後、指先から小さな炎を出し、カミソリの刃を念入りにあぶる。


それから全裸のまま、髭を剃り始めた。


きれいに髭を剃り終え、すっかり爽快な気分になったフェルネスは、腰にタオルだけを巻き、そのまま脱衣所を出た。


エリザベスは、ちょうど起き上がり、着替えをしているところだった。


何だかんだ言いつつ、昨夜はきちんと寝間着に着替えていたらしい。


エリザベスの顔が、思い切り引き攣った。


「あ、そういえば、いたな」


髭が剃れた爽快感のあまり、フェルネスはエリザベスの存在を忘れていた。


「ああ、着替え中か。失礼した」


そう言って、再び脱衣所へ戻る。


服を着て、しばらく待った後、脱衣所から顔だけを出した。


「着替えは終わったか?」


エリザベスは真っ青な顔で、コクコクとうなずいた。


「そなた、家に帰る気はあるのか?」


フェルネスが尋ねる。


だが、エリザベスは硬直したままである。


「お、男……なのか……」


かろうじて声を絞り出した。


フェルネスは無視した。



チャッピーに「ここで切った方がいい」と言われたのでそうします

続きを同時公開にします


他人が使ったカミソリをそのまま使うのは危険です


注意しましょう(使うなよ!というツッコミはなしでお願いしますw)

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