97/109
人質生活93日目
雪は解けてしまった。
濡れた土を馬の蹄が踏み、蹄鉄の後を残す。
クローイの霊はフワフワと飛び続け、やっとトーラティカを出ようとしていた。
高度を下げながらモルリヴァールに入る。
――――――――――
「雨を呼ぶ笛の凄さをビルにも見せてやろう!外へ出るぞ!」
「はぁ」
「普通、冬に吹けば雪になると思うだろ?しかしな、雨を呼ぶ笛は、どれだけ寒くても雨しか呼ばないんだ!面白いだろ?」
レジナルドはお得意の笛を吹く。
空から水が降ってきた。
「うわーっ!!冷たい!!凍え死んじゃいますよ!!」
「ワハハハハ!!俺も死にそうだ…ブルブル」
「何やってるんですか?」
「見通しが甘かった」
笛は水に濡れて嬉しそうにしている。




