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人質生活75日目

「それで、レジナルド様の絵画を書き上げたわけです」


アリディンバリスでは大きな絵画が完成していた。

「ちょっぴり厚塗りの油絵なので、乾燥に1ヶ月ほどかかってしまいましたが。どうでしょう?」

「素晴らしい!ぜひ購入させて欲しい。我が音楽ホールに飾らせていただこう」


音楽ホールの運営会社がその絵画を買い取る。

レジナルドと交流のあった画家たちは、独自に彼ををモチーフにした作品を創り上げ、ぼちぼち発表し始めていた。


――――――――――


「今日で自宅謹慎も最終日だ!気合いを入れて…」

「気合いを入れて?」

「…やる事が無いなぁ」

「でしょうね」


晴れた空の下。

窓だけ開けてレジナルドは外を見ている。

前日、乗馬インストラクターのセーラにも、明日は休んでいただいて明後日あさった来てくださいと執事が頼んだため、庭での乗馬見本ショーもない。

大工たちの元気いっぱいな声が聞こえ、厩舎と小屋の建築作業が順調な事だけが伺える。

「あ~あ!仕方ない。今日は特別に朝から勉強するか」

「よく自分から言いました。素晴らしい心がけです!」


マシューは机の上にドサッと新聞を置く。

やたらとしわくちゃだ。

「おおっ!?これは読むことが禁止されている新聞じゃないか!?」

「ふっふっふ。レジナルド様。私は素晴らしい抜け穴を発見したのです」

「!?」

「このカントリーハウスがお世話になっている、タフタフリッチの食料品店、ソースパン。そこで買う野菜や肉、魚は、新聞紙に包まれている事があるんです」

「な、何だと…!?つまりこれは新聞紙ではなく…包装紙!?」


マシューは光るメガネを上げ直した。

「そういう事です!」

「別に知的キャラの作戦披露シーンって程でもないだろ。生活の知恵の一部ぐらいのレベルだぞ?」

「しかしですよ。レジナルド様は今までキッチンやパントリーに足を運び、たくさんの新聞紙を見てきたはずじゃないですか。それでも新聞の存在に気付けませんでしたよね?」

「うっ…確かにな。言われてみるとパントリーには新聞紙に包まれた、日光を避けて保存すべき野菜があった。あの状態だと脳が新聞だと判断しないんだなぁ…」

「そこで”これって新聞では?いや、””包装紙””では?”と閃ける私は知的キャラではありませんか?」

「言い切るには微妙なラインだし、真の賢い系キャラは自分で自分をそう自称しないだろう」

「自尊心の向かう先はさておき。フィリップ王子様の顔はもう隠す必要もございませんし、人質の権利として新聞を読もうじゃありませんか」

「やった~~~!!!素直に嬉しいぞ。どれどれ…」


レジナルドが新聞に手を当てると、しわくちゃになった新聞が平らに戻っていく。

「凄いですね。どういう方法で?」

「水魔法と火魔法の合わせ技だ。こうやってアイロンのように手を熱し、新聞のシワを伸ばしている。水はスチームのような水蒸気になるまで熱するのがコツだな」

「手が熱いでしょう?火傷の心配が…」

「空気の層を作って断熱しているから大丈夫だ。ほら、この一面だけは読みやすくなっただろう。さっそくトーラティカ語の勉強だ!読んでくれ!」


久々に読む新聞は面白く感じる。

ほのぼの地方記事の切り抜きも楽しいが、やはり国同士のやり取りに興味がある。

「”外交官”かぁ。ただの使者に文章を持たせてやり取りする時代は終わりそうだな」

「どうでしょう。海の向こうの西側の国々の話ですからね。各国に大使館を置き、そこにわざわざ役職付きの人材を置くというのは…私たちがやっている人質交換とあまり変わりないのでは?」

「全然違うだろ!?」

「そうなんですか?」

「政治と国民の行き来に深く関わるんだ。人質とは真逆の存在だろう」

「なるほど」

「それに任期というものも存在するらしい。行くと決まれば帰って来られない人質とは訳が違う。あと、その国の言語や文化に精通していなければな!つまりマシュー。お前のような人材は外交官に適任なんだぞ!」

「ええっ!?」


――――――――――


「…というわけで、トーラティカとの行き来に使うポータルの増設を提案いたします」


アリディンバリスの王城、王国議会。

国交が回復してからは、モルリヴァールを通さない直接貿易がじわじわ増えている。

今は、既にやり取りがあった企業同士が互いに行き来しているだけだが、いずれは販路が増えてより活発な取引がされるようになるだろう。

「いいえお待ちください。ポータルの増設より先に、ポータルにたどり着くまでの道の整備の方が先ではないですか?」

「その点はもちろん踏まえております。工事には道が必要ですから、まず道路の整備から始めましょう」

「最初の山脈を越えるポータル手前には、ショーンフィール・ドリンキングビアー・ブリッジがあります。あそこの改修が先では?」

「お待ちください、その橋の手前の村のみすぼらしい事といったらございません。まずは領主に命令して宿泊施設を直させましょう。でないと人工にんくが泊まる場所も無いですよ」

「私はその土地出身ですが、現地民はそんな長ったらしい呼称ではなくテンパランス・ブリッジと呼んでいます」


激しい議論が繰り広げられる中、ブレンダンは今にも爆発しそうになっていた。

憎きいとこ、バーナビーがなぜか隣に座っているのだ。

紙にペンを走らせている。

「…見せてくれよ」

「えっ?」

「なに落書きしてるんだ?」

「め、メモですよ…」


ブレンダンは了承も得ず、バーナビーのメモに手を伸ばす。

そこには臣下たちの発言が、議事録のように丁寧に取られていた。

「なんだつまらない。本当にメモしていたのか」

「重要な議題ではありませんか。国政の場に出席させていただける機会なんて人生で今日しか無いのですし、しっかりと勉強させていただきたく…」

「ああもういい、わかった」


国王はその様子をチラリと目の横で捕えていた。


――――――――――


「ふぁあ~…ああ。お疲れさまでした、お兄さま」


一緒に議会に出ていたアデレートは目に涙を浮かべている。

寝ていたのだ。

「アデレートもお疲れ。昼食にしようじゃないか」

「待て、お前たち」


国王が子供たちの前に立つ。

「さっきの議会では、大切な話題を話し合っていた。短く要点をまとめてみろ」

「えっ!?」

「簡単にでいいから言ってみろ」

「…」

「どうした」

「あの…貿易の…そうです!ぼ、貿易のために色々改修整備しなければなぁ、みたいな…」

「ええ、そうでした」

「その通りだ。そして、話が逸れていったんだよな。しかし大切な結論に落ち着いた。何だったかもちろん理解しているな?」

「…」

「…」

「そもそもが、ポータルを増設しようという提案だった」

「は、はい」

「それで結論は?」

「…」

「…」

従者が止めに入った。

国王は明らかに怒っている。

「バーナビー!」

「はい。モルリヴァール側との国境に何個もポータルを設置してしまい管理に費用がかかっているという現状があります。さらに勝手ポータルも開けられ、現状、管理できているとは言い難く。このことを踏まえると、トーラティカとのポータル開設には慎重になるべきで、そもそもこの話し合いはトーラティカ側とも足並みをそろえて協議していかなければならない、という事で…。トーラティカ側ポータル運営維持委員会が設置され、まずはトーラティカへ王国への提案から始める事となりました」


国王はこれだこれ、というようにパチン!と指を鳴らした。

ブレンダンは呻く。

バーナビーは眉を下げて小さく言った。

「し、失礼しました」

「何が失礼なものか。アデレート、ブレンダン!」

「はい」

「はい…」

「何か言うことは?」

「…ご、午後からの議会では頑張ります」

「いいぞ。アデレートは?」

「もちろん私も出席します。しかし、専門的な話題はついていけるか不安なので、侍女を隣に座らせて説明させるつもりです。それに、バーナビーにどうやって議題を理解したのか教えていただきます」

「おお、なかなか立派な心意気だ。そうでなくてはな!」

「!!」


ブレンダンは20を超えた自分より、16歳の妹の返答のほうがまともな事にショックを受けた。

思わず言い訳が口をついて出る。

「今日は…体調が悪くて」

「なんだそうだったのか。なら、午後からの議会には出席せず、部屋で休め」

「そ、そうさせていただきます」


ブレンダンは従者に、昼食を自分の部屋に運ぶよう伝えた。


――――――――――


同じくアリディンバリス。

トーラティカの前国王の元に、祖国からの手紙が届いていた。

「さて、理解してもらえたんだろうか」


季節の挨拶と無難な国政の報告があり、縦読みで”りょうかい”となっていた。

それとは別に、孫のフィリップが書いた長文の手紙が入っている。

「うおっ…!?」

おじいさまが居なくなって寂しいです、という内容が繰り返し書かれており、なんとなく湿ったものを感じる。

「ふ~む。フィリップを特別可愛がっていたからな。無理もない…」


仕方なくトーラティカの先王はペンを取った。


――――――――――


その手紙を書いた本人は、ミニ馬車キットを友人の貴族に渡していた。

「ミニ馬車キットの在庫はもうそれで最後だ。今後は以前のように、雑貨屋で買ってくれ」

「ああ、わかったよ。それにしてもどうしたんだ?元気が無いように見えるぞ?」

「ちょっとな」

「明後日は国王様の誕生日だろ。プレゼントは決めたのか?」

「…」

「なら、王都で一緒に選んでやるよ」

「いいのか?」

「もちろんだろ。何がいいのかな?」

「花とか植物系はダメだ。毎年お父さまがお母さまに送るから」

「なら、香水とか」

「詳しくない。ハンカチは去年送った。貴金属は全く知識が無いし…」

「なら物はヤメだ。歌とか、ああ、フィリップはフルートを吹けるじゃないか。一曲プレゼントするってのは?」

「う~ん…今からじゃ練習も間に合わないなぁ。というか、最近はクラリネットもフルートも吹いていないし」

「ずいぶん忙しいんだな?」


まさか週一でアリディンバリスの人質をからかう事に精を出していたとは言えず、適当に笑う。

「とにかく、買い物に行ってみたら何か見つかるかもしれない、だろ?」

友人と共に従者を引き連れて城から出る。


その頃。

フィリップ付きの最古参の従者が、宰相と国王の前で弁明していた。

「わ、私はしっかりと、フィリップ王子様に指導して参りました」

「しかし力不足だったようですね。今後は別の王族の従者として働いていただきます」

「そんな…!!王子様が子供の頃からお仕えしてきたのに…!!!!」


フィリップ王子の母親である国王はため息と共にひたいに手を当てた。

「王子が、例の人質との魔法比べで負けたことを知っているな?」

「…はい」

「どうすればフィリップの方が上だと分からせることができる?知恵を出してみろ。傍で仕えていたなら、すぐに妙案を出せるはずだ」

「………話を聞く限り、フィリップ王子様は唯一使えない土魔法で負けたようです。つまり、魔力が弱くても、5つの魔法をすべて使えるというのは実際に強力なのでしょう」

「わかっている!しかしそれではフィリップは負けたままだ。こんな状態じゃかわいそうだろう。外交問題に発展する前に使者を辞めさせたいのは山々だが、気持ちの収まりどころが無いというのも良くわかる。あの子を勝たせてやりたい」

「…人質が魔法を得意とするなら、我が王子様が得意な種目で戦えばよいのです。例えば…相手は剣術を習っていないと聞いています。魔法を禁止し、剣術での試合を組めば…」


国王は宰相と目を合わせた。

「剣術を習っていない相手と剣で勝負するのは、弱い者いじめを越えて騎士道に反する行為だ。そもそも、剣術を修得していない人間に勝って喜ぶのは、数字を知らない子供と計算比べをするようなものだろう。退屈な勝利を得ても、あの子の成長はない」

「国王様は、本当にレジナルド様が剣を習っていないとお思いですか?」

「ほう?」

「ある程度の手習いなら絶対にしているはずです。王族ですよ?」

「…ふむ」


――――――――――


フィリップが王都から帰ってくると、使用人たちが何かを運んでいた。

「もう誕生日の飾りつけをしているのか?前日でいいだろう」

「いいえ、これは加湿魔法道具ですよ」

「?」

「今はまだそれほどでもございませんが、秋が深まってくれば乾燥が酷くなりますでしょう?これを壁にかけておけば、湿度が適切に保たれるそうで」

「へぇ…」


フィリップは興味を持つ。

「私の部屋にも一つ置いてくれ。切り花を浮かべた水盆も風情があっていいが、こういうガジェットは大好きだ」

「了解しました。すぐにお部屋へ向かいます」


そうしてフィリップの部屋の壁に、溺死王のデスマスクを元にして作られた魔法道具が飾られた。

もちろん外見は変更されており、ニットを編んだような可愛らしいデザインになっている。

「ユニコーン色でいいじゃないか。ああ、このアイテムを知っていたら、お母さまへのプレゼントはこれにしたかも知れないな」

「いえ、このぬいぐるみより良いものはございませんよ」


従者は城下町で買ってきた巨大なぬいぐるみをソファーの上に置いた。

なんと先王のぬいぐるみである。

「おお、あらためて見ると良いなぁ。まあ、王族肖像使用許諾申請を出していない無許可ぬいぐるみだとは思うが、見逃してやろう

「しかも2つ買いましたからね。これで国王様は2つのお部屋にぬいぐるみを置けるわけです」

「は?2つも同じものをプレゼントするわけないだろう」

「ええっ!?」

「ひとつは私の部屋にお迎えする!」

「ええっ…」


長椅子の上にドカッと置かれた先王のぬいぐるみは存在感抜群だ。

2頭身にデフォルメされて可愛い顔になっているが、それもフィリップにとっては嬉しい事だった。

「かわいい…」


――――――――――


ブレンダンは夕食の集まりに顔を出した。

微妙に悪いタイミングで親戚が集まっている。

叔母のチェルシーと父親が喋る。

「お兄さま、本当にバーナビーをよろしくお願いします」

「ああ。こういう時ぐらいは兄らしくやっておかないと」


ブレンダンは何の話かと思って近づく。

「ブレンダンじゃないか。もう体調はいいのか?」

「ええ、午後から寝ていて。よく休めました」

「なら最後にチェルシー叔母さんに挨拶しろ」

「…」

ブレンダンは一通り、挨拶の言葉をかける。

「アリディンバリス王国の王族としての責務を果たすため、リトルトン家の領地へ行かれるご決断、本当にご立派です。国のどこに居ても変わらず健康でいてください。新しい生活が落ち着いた頃に、こちらから訪ねさせていただきます。その時は、お父さまとバーナビーも一緒にです。チェルシーご夫妻に幸運と、転生させ女神様の寵愛がありますように」

「ありがとうございますブレンダン。あなたに、それ以上の幸運と加護がありますように」


本当は訪ねる気なんてサラサラない。

そしてバーナビーと再会させる気はそれ以上にない。

国王がサラッと言う。

「ああそうだ、明日からもバーナビーを議会に連れていくぞ」

「!?!?!?!?」

「何故そんな雷に打たれたような顔をしている?あのなぁ、お前たちは気が緩み過ぎなんだ。気が緩んでいるのは私だけで充分。子供のお前たちには、しっかりとした国王になって欲しいからな。バーナビーに王座を狙われていると思う時が引き締まるだろう?」

「お、お父さま、冗談でもそのような…」

「もちろん冗談も冗談、バーナビー。お前、野心があるか?」

「まさか!」

「だよな?しかし、お前が居るとブレンダンもシャキッとするだろう。明日から頼むぞ?」


――――――――――


「毒殺しよう」


従者が笑った。

「揉めますよ。せめてチェルシー叔母さまが亡くなってからでないと」

「クソっ!!!!!!!!叔父さまも叔母さまもまだ若い…お父さまの妹とその夫なんだから当たり前だが…」

「それに、王座は安泰でしょう。毒代がもったいないですよ」

「わかっている。だが、不安だ」

「バーナビー様はブレンダン様よりも10年長く生きておられるのです。その分の賢さの違いでしょう。逆に言えば、10年あれば余裕で追いつけますよ」

「私からしたら叔父のように年が離れている。誰がいとこだって?あんなヤツ…!!!!チッ!」

「適当な役職を付けて追い出す方が現実的では?」

「それはいい考えだ。城下町にある第二議会場へ送ってしまえばいい」

「いいえ、いとこを目の届かない場所にやってしまう方がリスクは高いですよ」

「お前はさっきからバラバラな事を言うな!!!!」

「も、申し訳ございません…」


ブレンダンは頭を抱える。

「あいつは私より剣と魔法に優れている。訓練所での戦いではいつも手加減して負けてくれるが、お父さまもそれには気付いているだろう」

「どうでしょうね。接待チェスに気付けていませんから、ワンチャン、ブレンダン様の方がお強いと思われているかも知れません」

「それにあのフニャフニャした笑顔。まったく癪に障る。毒殺しよう」

「なりません」


――――――――――


「あのクソムカつくいとこ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!毒殺して頂戴~~~~~~~~っっっ!!!!!!!!!」

「ア、アデレート様…」

「私とお兄さまに恥をかかせて!!!!王族のプライドを傷つけた罪は、死刑という罰をもって償ってもらうんだから!!!!チェルシー叔母さまは引っ越しより先に息子の葬式を上げることになるわけ!さぁ、町へ行って毒を買って来て!」

「なりませんよ!バーナビー様も王族ではございませんか!」


侍女に怒鳴られる。

「ご自分が何をおっしゃっているのか理解されていますか?議会で寝ていて叱られて、その恥ずかしさをいとこ様に転嫁してらっしゃるだけです!」

「………っ!」

「真面目に起きていたら、嫌でも議論の内容は頭に入ってくるでしょう?」

「でも税金の使い道がどうとか、つまらない話ばっかりなの!もう飽きちゃった!」

「なら、そう正直にお父さまに話して、一旦…」

「それは嫌!だっていとこ達の方が優秀だって思われるでしょ!?王城が乗っ取られちゃう!」

「まさか。第一王女様はまだ16歳ですし、少しずつ勉強することを国王様も許されるはずです」

「だとしてもいとこに弱い所や未熟な面を見せたくないの!」

「どちらかです」

「うっ…」

「真面目にやるか、自分にはまだ早いとお父さまにお話しされるか」

「………真面目に頑張ります」

「その代わり、魔法の勉強などはやめて、午後からはしっかり休めるようにしましょう。午前だけなら集中できるはずです」

「そうする」


――――――――――


トーラティカ、カントリーハウス。

パジャマ姿のレジナルドは、従者のビルにクイズを出していた。

「夜、眠りにつく前、モグラは部屋のライトを消さない。な~んでだ?」

「う~ん…モグラの巣は地面の下にあるので、すでに暗いから」

「正解!」

「これって訓練になります?」


ビルはレジナルドのベッドを整えながら話す。

そろそろ寝る頃だというのに、やっとこの時間になってベッドを直しに来たのだ。

「訓練になる!また転生させ女神からなぞなぞを出されるかもしれないからな。今度こそ答えたい。これはその対策だ」

「だとしても回答側に回ってくださいよ。なぜ出題者側なんですか?」

「問題を作ると、なぞなぞに強くなるんだ。勉強と一緒だな!」

「まあ、ほんのちょっとだけロジックは理解できますが…」

「では2問目!モグラが地上で自分の双子に出会った!なぜ?」

「う~ん…日光に当たることにより影ができた。地下では影もございませんからね」

「正解!では3問目!モグラがトンネルを掘っている時、うっかり他のモグラのトンネルと繋げてしまった。そこに他の生き物はいなかったが、モグラが出会った、未だかつて知られいないモノは?」

「う~ん…トンネルとの出会い、道との遭遇、…未知との遭遇?」

「ビル」

「はい」

「お前には才能がある。ゆえに、お前を転生させ女神様モグラなぞなぞ特別対策委員会会長に任命する。このエア令状を受け取り、仕事に励め」

「辞任します」

「ならん」

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