人質生活73日目
「うぉーっ!!自室謹慎生活1日目だぁ!!!!」
朝からレジナルドは叫んでいた。
モグラも手を伸ばして叫ぶような格好になる。
「まったくお前は胴体が長いな。ああ違う、ボディが寸胴すぎるんだ。円柱型の生き物め」
モグラは円柱と呼ばれて嬉しそうだ。
「失礼いたします」
「おはようございます」
毎朝来るビルだけでなく、マシューも顔を見せてくれた。
「まったく、悪運の強いお方ですね。見てくださいこの雨を!」
「ワ~~~ッハッハッハ!!乗馬が出来ないのが悔しいと思っていたが、天は俺の味方のようだな」
「これでは自室謹慎の罰が軽くなってしまいますよ。私の独断と偏見でもう一日延長したいところですが…」
「この通訳、酷過ぎないか?」
「朝食をとりましょう」
レジナルドは電気リンゴの薄切りを口にする。
「甘くてピリピリする!ビルも食べろ!」
「私は給仕で立ってるんですよ」
「ここは俺の部屋だ。ダイニングルームとは違ってシェフもコックも執事もいない。3人だけなんだ。サーブなんかせずに一緒に食おう!」
「…じゃあお言葉に甘えて」
マシューがビルにコーヒーを注ぐ。
「わっ!貴族にコーヒーを入れてもらっちゃいました!」
「まだだ!この世にはもっと上があるぞ~?」
レジナルドもビルにコーヒーを注ぐ。
「2杯も飲みません。カフェインの過剰摂取ですよ」
「そうじゃないだろ????」
――――――――――
「ご様子は?」
マシューはハインリヒの個室で、ボロボロになった壁を見ながら話す。
「安心しました。ちゃんと罰を受け入れて大人しくしていますよ」
「ライブラリから本も運びましたし、これ以外、何ができるのか思いつきません。他にレジナルド様の気分を晴らせるようなことがございますでしょうか?残念ながらバタフライナイフ投げとトリックの練習はこの部屋以外では禁じられておりますし」
「本当は全室で禁止したいぐらいなのですが。まぁ、午後からはいつものように勉強しようかと思います。私がレジナルド様のお部屋に出向けばよいだけの話ですからね」
「なるほど!では私がレジナルド様のお部屋に移動すれば、バタフライナイフ投げの練習も…?」
「許可するわけが無いと分かってて聞くのはケンカ販売から利益を得られるからですか?」
――――――――――
アリディンバリスでは、とりあえず1億ゴールドの予算が議会を通過していた。
まさかそれで魔法学校の全てを賄おうとしているとは、誰も想像できないだろう。
「へぇ、初手とはいえ1憶とは。控えめに出たね?」
「先に予算を取る方を選んだんです。小さく生んで、大きく育てようと!」
「…」
ハーパーの隣に座る議員は感心したようにうなずく。
「見た目に反して野心があったんだぁ…」
「見た目に反してとは何ですか!」
黒ぶちメガネに、伸ばしっぱなしのボサボサ髪の毛。
ブラウンの素肌が美しくも、所々にシミがあるノーメイクの顔は地味そのものだ。
だが心の世界では、領地への壮大な利益誘導の夢を、夏の入道雲よりも大きく膨らませていた。
「叔父さまに手紙を書かなくちゃ…」
――――――――――
「ブレンダン様!会議室へ」
「何だ?」
「ダンシップ家がやっている宿屋へ送っていた兵士が戻って来ました」
ダンシップ家はホレイシォの両親が宿屋を経営していた。
出身領地を跨いで5か所に施設がある大規模なビジネスだ。
宿屋と言ってもレストランや馬の駅などが併設されおり、こうなってくるともちろん周辺の土地を借り上げ、レンタルするビジネスにも手を出していた。
「それで、両親の接触は?」
「私が滞在していた間は」
「そうか…開放はしてやったか、老夫婦だったからな。帰れずに野垂れ死んだか、今も下町で侘しい暮らしをしているだろう。身分証明のスクロールも捨ててやったから金借りも不可能だ」
「犯罪者の親なので絶対に匿わぬよう、と命令を出しておきました」
「これで帰る場所も無くなったな。良いザマだ。親族は?」
「その親族ですが…ホレイシォの親の顛末を聞き、喜んで会社の経営を引き継ぐと」
「なるほど最低だ。今回に限っては喜ばしいが、こういうタイプの親族は居てほしくない」
「調停所で、会社所有の権利をアリディンバリス王国の名の下に、親族へ移して参りました。会社で土地を借りていたので、自動的に土地の権利も親族へ移動したようです」
「よくやった。まぁ、少し罰が過ぎる気もするが。子の罪だ、親にも被ってもらおう。口座にあったゴールドは?」
「アリディンバリスローカル銀行に預けてあったゴールドは、国家への保障のための徴収、という名目で全額引き出しました。しかしながら、世界銀行は…」
「そっちはいい。まったく、独立性独立性とうるさい企業だ。島まで自前で作るんだから、財宝を溜め込む古のドラゴンのように卑劣なビジネスだと思わないか?」
「国内のトラブルに一切応じてくれないのは本当に厄介です。ただ、金利も存在しませんからね。誠実に生きるならあまり使いませんよ。私は利息のためにアリディンバリスのローカル銀行に預けています!」
「よく言った!」
「まぁ、0.001%なので有って無いのと同じなのですが」
「黙っておけ!」
「はい…」
「金利なんてホコリみたいなものだ。言っておくけどな、インフレ率を加味すると預金というものは資産が目減りしていくだけなんだぞ?」
「王子様にそんなこと言われたい国民は居ませんよ!やめてください!!」
ブレンダンは本題を思い出した。
「肝心のホレイシォはまだ見つかっていないのか?」
「ええ。演者に紛れて牢を抜け、そのまま行方不明です」
「仕方ない。遠くへ逃げたのだろう」
「モルリヴァールへ?」
「可能性は高いな。しかし、死ぬまで拷問しても吐きそうになかったし、まあ諦めどころだな。魔法で相貌を変えていたら追いかけるのは不可能だ」
「…本当に小銭欲しさの窃盗のために、封蠟スタンプを偽装していたのかもしれません」
「それは無い、絶対に。誰かが裏で糸を引いていたんだ。王家のやることなすことを覗いていた人物が居る。というか居て欲しい」
「えぇ…?」
「いとこが怪しい」
「もういとこ様への憎しみだけを動力に永久機関を発明いたしませんか?」
「お前にはわからないだろう。王位を継ぐ者はいつだって狙われているんだ…」
――――――――――
同じアリディンバリス。
「本当に楽しかったの!夢みたい!あんな素敵な男子だったなんて!!話したことはあったのに、全然気づけずにいたんだから、私ってバカだよね………あぁ、また会いたいな」
クリスティーナはつま先を立て、クルクルと回転した。
「エナメルの靴が傷つくでしょう、お止めなさい!」
「…」
「まったく、はしたない…」
そう軽く叱る母の隣では、姉のスカーレットが今にも爆発しそうな顔をしていた。
一昨日の初回デートでクリスタル・ミンク牧場の若者と楽しくおしゃべりできたクリスティーナは、そのまま翌日にお茶の予定を入れたのだ。
そして昨日も楽しく街を歩きながらウィンドウショッピングをし、仲良くお茶を飲んで、丁寧にワーグマン家まで送り届けてもらったのだが…。
彼女は魂の底から浮かれ屋だった。
「私、過去の恋のこと、忘れられそう!」
これは実際にはもちろんメンズ設定カフェのキャストの事である。
ブチぎれたスカーレットが花瓶を掴み、クリスティーナに思い切り投げた。
怒りで手が震えたのか、もともとノーコンだったのか、すぐ近くに居るクリスティーナにはぶつけられず、よりにもよってサラにぶつけてしまう。
「キャ~~~~~~~~~~~ッッッッ!!!!!」
大げさな兄嫁は大絶叫だ。
だが、すぐにそれ以上の大絶叫が室内に響いた。
「スカーーーーーーーーーーーーレットオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!」
クリスティーナとスカーレットの母は、息子の妻であるサラをとても気に入っている。
そのサラに花瓶をぶつけられたのだから一瞬で怒りに火が点いた。
母親は手を広げ、娘のスカーレットの頬をビンタしたのだが…。
こちらもエイムが悪く鼻先を指がかすめただけだった。
が。
「キャッ………!!!」
痛みよりもぬるっとした暖かさが鼻の下から上唇を伝う。
鼻血が出てしまった。
スカーレットは慌てて手で顔を押さえ、自分の手についた鼻血に驚く。
悲鳴や怒号を聞いて、使用人たちが部屋に飛び込んできた。
瞬時に状況を理解してスカーレットにハンカチを手渡したり、落ちている花瓶と散らばった花を片付けたりする。
そんな中、侍女がクリスティーナを部屋に連れ戻そうとした。
「クリスティーナ、どこへ行くの?なりません!」
「!?」
「あなたは私の部屋に来なさい!」
「えっ…じゃ、じゃあ一緒に…」
「侍女は連れてこないで!あなただけで!!」
――――――――――
母の部屋に連れてこられたクリスティーナは、自分は悪くないのに、という不満そうな顔をしていた。
姉であるスカーレットが花瓶を投げつけ、義理の姉であるサラが大げさに叫び、その様子を見た母親が激怒して娘を叩いたのだ。
「言い訳は?」
「はぁ!?」
クリスティーナは自分の不満を隠そうとしなかった。
「わ、私、何もしてないじゃない!」
「まず謝りなさい。どんな時も。まず、謝る。そうでしょう!?」
「…」
「何度も言わせないで。まず、謝りなさい。謝って!」
「じゃあお母さまが謝ったら?」
「………」
「まず謝ることって子供に教えるなら、お母さま本人が”まず謝る”手本を見せてよ!」
「あなたって…呆れた!」
「呆れたのは私の方だけど!お母さまがお姉さまに大丈夫とか、ゴメンねとか言っ…」
「やっぱり、問題を起こす事にかけてあなたの右に出る人間は居ないみたい」
「…」
「王都に戻りたいって言ってたでしょ。さすがに、恋愛沙汰があったことを鑑みるに、王都で暮らすことに許可は出来ない。でも、隣の領地でならどう?」
「は??????」
「あなたが帰ってくるまでは仲良くやってたのに、もううんざり。なぜお姉さまの前で恋愛が上手くいっている事を自慢したりするの?スカーレットがどれだけ苦しんでいるのか察せない?人らしい思いやりの心をそろそろ身に付けてもいい年頃でしょ?」
「最低!」
「なに言って…」
「何でもかんでも私のせいにして!お、お父さまに相談するから!」
「あの人は仕事中なんだから、邪魔しないで!」
「ならお兄さまに…」
母親は近づいてクリスティーナの髪をギュッと掴んだ。
「ギャーーーーーーーーーーーーッッッッッツツツ!!!痛い!離して!離してってば!!」
クリスティーナは思わず手を振り回してしまう。
扉の近くで待機していた侍女たちが叫び声を聞いて入ってくる。
その時、肘が母親の体に当たった。
「ああっ!!!!!!!」
「!!」
「い、痛いっ…」
「ごめんなさい…でも、お母さまが先に…」
「この子を部屋に戻して!」
「待って!私、お母さまを傷つけるつもりはなかったの!」
「自室謹慎とします!」
「!?」
クリスティーナは侍女と共に部屋に戻った。
ベッドにうつぶせになり、わんわんと泣く。
――――――――――
「ごめんなさい、お母さまを驚かせてしまって…」
「ああ大丈夫スカーレット。あなたはちゃんと謝れる子でよかった」
「サラにも、花瓶を投げてぶつけてしまった事、きちんと謝りました。でも夕食の場で、みんなの前であらためて謝罪しようかと…」
「まさか。そこまでしなくてもいいの。サラと私に謝ってくれたなら、それでいいから」
「………」
スカーレットはいかにも反省しているという感じで、無言のまま斜め下を向いた。
「あの子は自室謹慎にしたし」
「ううん、悪いのは私だから、自由にさせてあげて」
「あなたって優しすぎる!妹だからといって甘やかさなくてもいいのに…」
「でもカッとなって花瓶をぶつけようとしたのは事実だし」
「大丈夫大丈夫。あの場に居れば、誰でもクリスティーナをうざったく感じたはず。あなたは悪くない」
「お母さま…ありがとうございます。本当にごめんなさい」
スカーレットは自室へ戻っていった。
「…さて」
母親はサラの部屋をノックする。
侍女が扉を開け、中に招いた。
「お義母さま、お騒がせしてすみません」
「ううん、あなたが一番大切なんだから」
「思わず大声を出してしまって…」
「フフッ、花瓶を投げつけられて、黙っているようなニブい子だったらそっちの方が嫌だけど」
サラは元気を無くした顔で微笑む。
「…私のせいで、スカーレットとクリスティーナが傷つきませんでしたか?」
「その事なんだけどね。やっぱり、クリスティーナには出て行ってもらおうと思っているの」
「!?」
「帰ってきたばかりだけど。本能的に他人が嫌がることを察知して、それを無意識にやってくる癖、まだ直せていないようだし。最近、スカーレットも敏感になっているから。彼氏探しの邪魔にならないように、他の領地へ…」
「でも…クリスティーナもかわいい義妹ですし。ユージーンさんと結婚してしまえば…適度な距離を保てるのではないですか?同じ領地内で、滅多に顔を合わせないぐらいなら。末っ子として彼女を可愛がれるでしょう?」
ユージーンはクリスタル・ミンク牧場の長男だ。
「そう…でも…」
母親はスカーレットが傷つくのではないかと思い、少しためらった。
一度断った相手と妹が結婚することになるのだ。
しかしスカーレット本人が結婚したいと言い出し、選り好みし出してもう6年。
優秀な人材から順に紹介してもらっている事を考えると、そろそろ”在庫”が尽きてくる年数でもある。
「でも…待って…荒療治になると思わない?」
「?」
「そうよ。ユージーンさんとクリスティーナが結婚してしまえばいいの。そうすれば、スカーレットも自分の狭量さを改めようとするか、もしくは結婚に向いてないと諦めてくれるじゃない!」
「!」
「ありがとうサラ。あなたと話すと、いつだって問題が解決するんだから」
「ど、どういたしまして………」
――――――――――
ノックの音が聞こえた。
「…誰にも会いたくない!」
「お待ちください、見て参りますからから」
侍女が誰かを中に通したようなので、慌ててベッドから体を起こす。
顔も髪もめちゃくちゃだ。
「さっきはごめんなさいクリスティーナ」
「えっ、お母さま…」
「落ち着いて考えたの。まず、私が謝るのが先だったって」
「…」
「どう?許して貰える?」
「う、うん…」
「自宅謹慎だなんて酷い事を言ってゴメンね。本当に。何も悪くないのに」
「…わかってくれたならいいけど」
「じゃあ、お茶を運ばせるから」
「ありがと」
「それと、クリスタル・ミンク牧場から手紙が届いたの」
「!!」
郵送システムを利用して届けられた手紙ではなく、ユージーンの家から使用人を向かわせて、直接届けられた手紙だった。
「開けて読んで頂戴」
「ええと………!」
「ポジティブな内容なの?」
「あ、あらためてご両親と一緒にお食事を、だって…。正式に付き合うから、挨拶したいみたい」
「…そう。礼儀正しい子じゃない。もっとも、向こうのご両親に言われてイヤイヤそう書いて送ってきただけかもしれないけど」
「そんな事絶対ない!お父さまとお母さまを気にかけてくれているし、それだけじゃなく、おじいさまとおばあさまを立派な領主だって褒めてくれたんだから」
「当然でしょ、立派な領主なんだから。ま、これから結婚を前提に付き合おうって女性の親族ひとつ褒められないようじゃ将来は無いから、その点は社交辞令を弁えていて良かった。あなたも向こうのご家族には気を使いなさいね。領主の一族だからってふんぞり返ってたら、今のご時世、簡単に縁談をひっくり返されちゃうんだから」
「わ、私は一度も領主の孫だからって偉ぶった事ないけど!」
「貴族貴族って口癖みたいに言ってるじゃない?」
「お母さまが、いつも貴族として誇りを持ちなさいと教えてくれたんだから、それを実践しているだけなのに」
会話の雲行きが怪しくなってくる。
「あ~あ。あなたのああ言えばこう言うの癖、治そうという気があるの?」
「だって…」
「”でもでもだって~”」
「…っ!!!!」
「口答えが淑女の基礎教養だと思ってるわけじゃあるまいし。素直に返事をしておけばいいものを。どうして反論して相手の上に立とうとするの?しかも毎回、話の内容が微妙にずれてるの。それに気付けないならせめて寡黙で居なさい。雄弁は銀、沈黙は金、でしょ」
「………」
「返事は?」
「雄弁は銀、沈黙は金、でしょ?」
クリスティーナは叩かれた。
――――――――――
「”ギュイ~~~~ン!!火魔法フォ~~~~ムッッッゥ↑↑↑ゴオオオオ~~~~!ファイアボォォ~~~ル!!↑↑♪~♪♪♪♪~♪♪~♪♪~”」
「それ鳴らしたらぶっ壊すって言いましたよね!?」
「夕食の場だ。少し落ち着け!”ギュイ~~~~ン!!ギュ、ギュ、ギュ、ギュイ~~~~ン!!ギュ、ギュ、ギュ、ギュ、ギュ、ギュ、ギュ、ギュ、ギュ、ギュイ~~~~ン!!”」
「魔法石のボタンを連打して魔法録音ドーナツ状シートをスクラッチした時みたいな音を出すのをやめてください!!」
「落ち着いてくださいマシュー様。サカバンバスピスのフリッター、美味しいですよ!」
ビルはすっかり馴染み、昼食、そして夕食を共にしていた。
シェフも普通に3人前作っている。
「とにかく、食事中はオモチャで遊ぶことを禁止いたします!貸しなさい!」
「チッ」
「でも懐かしいですね。娘のエロイーズからも、こうやっておもちゃを取り上げたことを思い出しますよ」
「何歳の時の出来事だ?」
「5歳ぐらいです」
「一緒にするな?」
「なら5歳児と同レベルのしかられ行為をしないでください」
「それはそう」
夕食が終わっても、体を洗って着替えれば部屋に逆戻りだ。
「つまらん~!!正直、部屋から出られない事がこんなにつまらんとは思っていなかったぞ!それに今日会った人間はビルとお前だけだ!」
「ハハハ、そうでなくては罰になりませんからね。さて、後は寝るだけですよ」
「フン。仕方ない、寝るぞモグラ!」
「…あれっ?小さくないですか?」
「ああ。モグラは好きに体の大きさを変えられるようになったんだ」
「転生させ女神様のお力によってですか?」
「わからん。このモグラのユニークスキルかも知れんし…」
「だとしたら………便利ですね!?」
「そう思うだろ?俺も体の大きさを変えられるという能力は初めて見た。本当に便利だ。編んで貰う甘イモ入れのサイズも一種類でいいし」
「いやぁ、パジャマのサイズなんてどうでも良くてですね。例えば…2階の窓を拭きたいときに体を大きくするとか、老眼で小さい文字がボヤけて読めないときに自分の体を小さくして、相対的に文字を大きくして読書するとか、様々な面で役立つでしょう!」
「どうでもいいとは何だ!せっかく編んでもらったオシャレな甘イモ入れ、一枚も無駄にしたくないだろう!もっと服に感謝を持て………イヤちょっと待てよ」
「どうしました?」
「なぜ人間がこのユニークスキルを得られなかったのかが解った!」
「?」
「服を着ているからだ!」
「あっ…」
モグラは全裸なので、体が大きくなっても服がビリビリ破けることは無いし、小さくなっても服に埋もれて窒息死する危険性が無い。




