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人質生活27日目

朝から陽の光を浴びて、モグラは背伸びをしていた。

そんなモグラをレジナルドはひょいっと掴み、畜産用の体重計に乗せる。

「…全然バネが下がらないな。モグラが畜産じゃないからか?まあいい、俺も一緒に乗ってやろう。俺の体重は、この高地では170kg分のバネを引っぱれる。まあ本当は180kgあるんだけどな。俺の170kgからはみ出た分がお前の体重だ。いいな?」


モグラは不服そうだ。

「…160kg!?なんだと!?モグラの体重ってマイナス10kgなのか!?!?」


物理の法則が乱れる。


――――――――――


暑い日でも関係なく乗馬のレッスンが始まる。

速歩はやあしの練習をしてもよいのですが、せっかくですから風魔法の練習をしましょうか」

「おお!サスペンション魔法を教えてくれるんだな!」

「その前に風を操る訓練です。チャチャッと済ませましょう」


3倍速ぐらいで初心者教室が繰り広げられる。

「風を感じて、イメージして、風と一体になりました?なりましたね。なったと言いなさい!では手のひらに小さい風を起こして、はい、ウィンドカッター!もっと大きなウィンドカッター!さらに大きなウィンドカッター!」

「うっ、うぐぐぐ!!!!スパルタ過ぎないかぁ!?!?」

「ウィンドカッターを自分にぶつける!ぶつける!!ぶつける!!!」

「痛いが!?!?」

「痛いのは下手くそだからです。はい、足を浮かせる!」

「くそぉ…!!!!」


レジナルドは自分の体に出来た傷や打撲をキッ!と睨み、直しながら風魔法の訓練を続ける。

「ウィンドカッターを自分にぶつける!ぶつける!!ぶつける!!!」

「痛いが!?!?」

「痛いのは下手くそだからです。はい、体を浮かせる!」

「うぐっぉ…!!!!」

「まだ分かりませんか?風魔法を使って体を浮かせるだけではなく、落下地点の地面をフカフカにすればダメージをさらに減らせるんですよ。何のために先に土魔法を練習したと思っているんですか?ほら!立ってください!」


セーラは風魔法でつむじ風を巻き起こし、強制的にレジナルドの体が立たせる。

「グワーーーーーーッ!!!!」


乗馬を教えるのが上手いからと言って、他の事を教えるのが上手いとは限らないようだ。


――――――――――


ズタボロになったレジナルドを見て、マシューはドン引きした。

「午後から聖職者の方がいらっしゃって魔法の訓練をしてくださるというのに、こんなに疲れ果てていては起き上がることさえ困難でしょう!?」


セーラは首を振った。

「レジナルド様は気合いを入れることで無限に復活できるんです。そうですよね?」

「…っ!ぐっ!!!!無限じゃないぞ…!」


レジナルドは眉間にしわを寄せ、自分の体を脅した。

何とか起き上がる。

意識せずに回復魔法を使っているのだ。

「ほら。シャワーを浴びて着替えれば大丈夫でしょう?」

「…マシュー、他の乗馬インストラクターはいないのか?」

「探してみますね?」

「オホホ!無報酬でも来ますよ。通勤が楽しくて通っているんですから!」


――――――――――


アリディンバリスの城下町、古物屋。

顔なじみになりつつある兵士が骨董品を持ち込んだ。

「おおっ…!」


高齢の古物商は感心して品物を見つめる。

「よく盗んできてくれました。これは”成仏できぬ水筒”でしょう」

「有名な品なんだな!?」

「元の持ち主はアリディンバリスでも有数の貴族です。蓄えている財産なら王家をも凌ぐでしょう。成仏できぬ水筒は、ユージェニー様が所有されていたはずですが…。音楽会で意気投合し、レジナルド様に譲られたというお話は本当だったのですね…」

「さぞかし高いんだろうな?」

「私も何度か彼女にお会いしたことがありますが、歳の割には活発な女性で、もう亡くなられてしまったのが大変惜しく…」

「貴族の事なんてどうでもいいだろ!高いのか!?」

「まあ、値段はそれほどしませんが、個人的に憧れていた品です。お約束は果たしましょう。ひとり70万ゴールド、合わせて210万ゴールドでいかがでしょう」

「そんなに…!」


毎月の手取りが20万ゴールドなので、70万ゴールドは美味しすぎる。


――――――――――


同じアリディンバリスの、こちらは王城。

昨日盗みを働いた使用人2人がコソコソと会話している。

「ねえ、別の人にも例の”副業”のこと教えたんだけど、いいよね?」

「えっ!?どうして…誰にも言わない約束だったじゃない!?」


キョロキョロと辺りを見回し、誰もいない事を確認しつつ話を続ける。

「あなたと副業を辞めた子は、指輪が無くなっている事を報告して疑われているでしょ?そうじゃなきゃ、レジナルド様の部屋の掃除当番に割り振られるはずじゃない」

「ぐっ…確かにそうだけど」

「器に水を入れるだけの仕事でも部屋には入れないし、現実的な話でしょ?潔白だと思われているパートナーが必要なはず」

「…その子は口が堅いの?」

「お金に困っているから大丈夫」

「分け前は4等分。これは譲れない」

「もちろん。だって例の兵士に渡してくれるのはアン、あなたなんだから」


アンと呼ばれた使用人は拳を握った。

4等分でも分け前にあずかれるだけ良しとしよう。


――――――――――


同じアリディンバリスの、こちらも王城、議会室。

「トーラティカ側から、”のがあり”の上演許可が出ました」


国王は嘆く。

「信じられん…普通断るだろ?」


大臣は口々に擁護した。

「いえ、許可した我々の面子を立ててくださったと考えれば納得できます」

「むしろ”アリディンバリス側が普通許可しないだろ?なんで話をこっちまで持ってきてくれているんだよ?先王の提案を却下してほしかった”と思っている可能性もあります」


国王は頷いた。

「…そうか…じゃあさっさと向こうの都合のいい日程を聞いて、王宮の役者共を送りこめ。こちらも”国家間の交流促進事業”事務所を立ち上げよう…誰に丸投げしようかな~?」


薄情な臣下達はみな目を逸らす。

ひとりの臣下が手を上げた。

「トーラティカとの議題でもうひとつ。どうやら”ふとっちょ王子、隣国で虐げられてもう限界!”の内容が問題視されているようです」

「ああ…トーラティカが思いっきり悪役だものな」

「特に、隣国の王子役のキャラクターが酷く演じられていたので…嘘を平気でつき、他人の役職を騙り、レジナルド様を貶めようと画策するというとんでもない登場人物になっていますからね。また、硬貨のデザインにもなっている王城を破壊するシーンなどもありますし…」

「”これめっちゃフィクション”という親書を送れ」

「はぁ…」

「”ウチの王子は国民に愛されていない。逆にそちらの王子はその賢さが大陸中に伝わる程の聡明な人物で、悪人には程遠い。トーラティカの王城が壊れることも実際には起こり得ない。全部フィクションだから気にすんな”という内容を丁寧に書いて送れ」

「チャットQRB※1に丁寧に書き直させた手紙を送ります」

「うむ。ところで、もう”のがあり”の話題はたくさんだ。誰か、二国間交流事業の担当になりたい者は?いないか笑。じゃあ後はお前が全部やれ」


適当に指をさされた貴族は不満そうだ。

別の臣下が書類を配る。

「では次の議題です。農作物栽培の技術開発に予算を割り当てていただきたく………水魔法で湿らせた雲を、地上から何メートルの位置に配置したとき、最も効率的に雨を………研究のための………」


※1 クオーツ・レスポンス・ボール 両手をかざして質問すると、水晶玉の表面に回答が表示される魔法道具

――――――――――


アンの”副業”の同僚2人は、さっそく部屋に忍び込んだ。

新人が絵画に注目する。

「ねえ!そんなガラクタ売っても5万10万だよ!それより、絵画の方がよっぽど高く売れそうじゃない?」

「確かに…美術館に飾ってある国宝の絵は”億”するって聞くもんね…もしかしたらこれも?」

「あり得るでしょ~?誰も気にしてなくて、シーツをかけて部屋の隅に片付けられてるぐらいなんだからゴッソリ盗んでっても気付かれないって!」


さすが金に困っているだけあり、窃盗に躊躇ちゅうちょが無い。

盗品を隠すためのシーツが真四角になってしまう程、どっさり盗んだ。

「私ね、今、メンズ設定カフェにハマってるんだ」

「そ、そうなんだ…流行ってるもんね」


やたらデカい四角いシーツを乗せたまま、ガラガラと掃除道具ワゴンを押して歩く。

「キャスト全員ヴァンパイアなんだけど、ど~~~~~~~しても付き合いたい人がいるの」

「えっ…リアコ?引くわ…」


ガラガラと掃除ワゴンが音をたてる。

「もう少し目立てば絶対に私に振り向いてくれるの。自信がある。ディープ・ブラッド…まあ赤ワインなんだけど、1本10万ゴールドのヤツを沢山おろしてあげたくて」

「ホス狂じゃん…」

「ホスト会所とメンズ設定カフェは全然違うから!!!!あのね、まず、指名が無い!」

「じゃあどうやって指名するの?」

「推し制ってのがあって、指名できる」

「は????」

「ちょっと!あなた達!」

使用人の先輩に止められてしまった。

「はい!」

「はい!」

先輩は眉を厳しく上げ、2人に近寄って来る。

思わずごくりと息をのんだ。

やはりカモフラージュがバレバレだったのだろうかと、心臓が口から飛び出しそうになる。

「大声でお喋りとは、はしたない!私語は使用人待機室に戻ってからにするように!」

「はい!」

「はい!」


青い空をバックにヴァンパイアの仮装をしたキャストがダブルピースで喜んでいる。


――――――――――


トーラティカの王城。

「フィリップ王子様、これを」


レジナルドに届ける前に、使者はアリディンバリスからの手紙をフィリップ王子に運ぶ。

やり取りしている内容は筒抜けというわけだ。

従者が封筒の一辺を手慣れた様子でほぐし、中の手紙を取り出した。

「………なんだと…!?」


フィリップはアリディンバリスの王家が、レジナルドに指輪を送ってやるのだろうと決めつけていた。

最悪、宝石箱ごと届くのではないかと想定していたのだが、実際は真逆だった。

「指輪を送らない判断をしたのか!」


”トーラティカの先王がその身ひとつで人質としてやって来たことを尊重しなければならない。先王が未だに何の装身具も作らせようとせず、また祖国にも要求していないため、レジナルドにも指輪を送ることはできない。”

と書かれていた。

「第二王子を散々甘やかしてブクブクと太らせ、勉強も剣の鍛錬もさせず、魔法の適性も調べてなかった愚かな王家と思っていたが…ここまでおじい様をリスペクトしてくれるとは…」


フィリップは複雑な気持ちだった。

アリディンバリスの国王と臣下の貴族たちには常識がないと決めつけていたが、今回は関心せざるおえない対応だ。

もし立場が逆なら、フィリップと現国王は、先王に迷わず指輪を送っていただろう。

「第二王子は派手な服装や装飾品を好む人物だ。その王子の希望を下げて、ここで我らの先王の考えに、礼儀を持って接してくれたのか」


手紙を読んだ従者も頷く。

「偉大な判断です。しかし、レジナルド様はお怒りになられるでしょうね。カントリーハウスで働く使用人たちに危害が及ばなければ良いのですが」

「…今回は文章を書き写して、手紙を戻し封筒を閉じろ。それが終われば使者は手紙を屋敷へ運ぶように」

「フィリップ様はどこに?」

「訓練場で少し体を動かしてくる」


はやる気持ちを隠すように足早に去る。

わざわざ送ってくれと頼む程お気に入りの宝石が届かないと知った時、どれだけ暴れるだろうか楽しみでもあった。

使用人にケガでも負わせれば、迷わずアリディンバリスの王族を非難するつもりだ。

いつもの事であるが、できれば何人か殺してほしいと妄想した。


――――――――――


スパルタ魔法特訓を受け、ボロボロになったレジナルドはそれでも気力を振り絞り、ランチを食べた。

どんな状況でもバクバク食事できる才能があってはじめて太れるのである。

しかし生憎、天気は下り坂だ。

午後から雨になってしまった。

「おお!馬車が来たぞ!聖職者長を出迎えろ!」


レジナルドがエントランスへ降りていくと、執事が傘をさしながらルイスを出迎えてくれていた。

「レジナルド様、先日は教会へお越しいただきありがとうございました」

「いやいや!家庭教師を申し出てくれるとは感謝する!本来なら俺が出向くべきところを…」

「いえ、このお屋敷から離れるのにも許可が必要だと聞いております。私が尋ねてくる方が手間が少ないでしょう。あらためまして、教会で聖職者長を務めております、ルイスと申します」


ルイスはレジナルド、マシューと共に応接室へ移動した。

「(…レジナルド様からは魔力が感じられない………)」

ルイス他人の魔力を感じ取ることができるユニークスキルを持っている。

魔力とはゲームでいうところのマジックポイント、MPのようなもので、これが無いと魔法の適性がいくらあっても、しょぼっちい魔法しか使えないのだ。

「(宰相に心配は無用だったと伝えなければ。いくら5つの魔法適性があっても、これでは飲み物を温めたり冷やしたりするのが関の山だろう…)」

「ルイス様、早速魔法のことを教えてくれ!」

「ああ、では、光魔法の練習などいかがでしょうか?」


ルイスは最も当たり障りのない光魔法を教えることにした。

約1時間、基本的なライトの練習をする。

「うっ…全然大きくならないな…」

「いえいえ、手のひらぐらいの大きさの光球でも、作れるだけ才能がございますよ!」


ルイスは内心、安堵のため息を漏らした。

実際の所、これは才能が無いと言っても差し支えないだろう。

その小さな光の玉もシュン、と消えてしまった。

「…ハァ、疲れた。もうできない…」

「私は人の中にある魔力の量が見えるのですが、今のレジナルド様は魔力が空っぽのようです。ゆっくりと休まれ、回復されることをお勧めいたします」

「じゃあ、今日の訓練はここまでか?」

「ええ。そしてレジナルド様の魔法を直接見て確信しました。このお屋敷に魔法の教師を呼び指導を受けるよりも、本などからゆっっっっくりとスローペースで一歩一歩ゆっくり無理せずにスモールステップでゆっくり独学で暗闇を歩くようにゆっくり慎重に学習を進められた方が、レジナルド様の性質に合っているでしょう」

「おお!そっちの方が魔法の修得は進むだろうか?」

「ええ。他人から学ぶより、自ら手探りで時には間違った方法を何百何千何万と試しながら正解に気付くまで試行錯誤を続けるほうを得意としているように見受けられます」


マシューが苦言を呈する。

「それは学習においては遠回りになってしまうのでは?」

「いやいや!車輪なんて何億回再発明されてもいいものですからね!では、私はこれで失礼いたしますよ!」


聖職者は待たせていた馬車に乗り、教会へ帰って行った。

レジナルドとマシューはエントランスで。

執事は傘をさして門の出口に立ち、馬車を見送る。

「さっきの口ぶりだと、もう来てくれないのか?」


レジナルドは指先に光球を灯らせていた。

色を赤に変えている。

「おや、光の色を変えるのは高度な魔法だと聞いたとこがありますが?」

「ビルは使えるぞ。なんでも肉屋で赤いライトが重宝されていたから練習したが、最近は白いライトで肉と肉加工品を照らすようになったから仕方なく使用人になったとか」

「ハハ!…まあ、聖職者長はお忙しいのでしょう。町で魔法の本を買えばいいんです。それを読みながら練習しましょう」

「ああ、もっと演劇の本も買い足してくれ。確かにルイスは教会の仕事で手一杯だろうから仕方ないな。ライトの色を変えられる、ビルのような素晴らしい使用人がいるんだ。執事のハインリヒは風魔法でカラスを説得することが出来るし、セーラは風をぐるぐるとコイル状にして風のサスペンションで自分を釣り上げることもできる…俺もついさっき吊り上げられたが。この屋敷の中にいても、魔法を学ぶことは出来るだろう」

「私は飲み物を温めたり冷やしたりする魔法を教えして差し上げます」

「それはもう自力で出来るようになった」

「…習得に5年かかったのに!」

「ああ…今日は疲れたな…」


レジナルドはしょぼしょぼとした顔で自室へ向かい、久々に昼寝をした。

午前中にセーラとの訓練で魔力を使い果たし、午後からの練習でいよいよ疲れてしまったのだ。


――――――――――


「さらばモルリヴァール!」


トーラティカの貴族が馬車に乗った。

観光名所の古都から、祖国へ帰る旅路だ。

父親と母親と娘が楽しそうに話す。

「色々見たけど、どこが一番面白かった?」

「うーん…やっぱりオークション会場かな。入る前に誓約書を書かされたし、紹介してもらった貴族の顔に泥を塗ることが無いように、って…かなり怖かったよね?」

「ハハハ!トーラティカでも盗品の取引を秘密裏に持ち掛けられたことはあったが、ああやって顔を隠してオークションに参加するのはスリルが凄かったなぁ?」

「表に出せない品物を売るためのオークションだってわかってたけど…仮面をつけるのなんて初めてだった。でも案外楽しかったな」

「ええ、クセになりそう。何より面白かったのが、我が国に人質として送られたアリディンバリスの第二王子が所有する彫刻が、さっそく売りに出されていた事ですよ!」

母親は楽しそうに笑った。

つられて夫と娘も笑う。

「オークションの事は秘密にしておかないといけないけど、どれだけ人望が無かったのって話じゃない?笑っちゃう…!」

「程度の低い国の王城で働く使用人の程度も、同じように低いというわけだ!」


帰りの馬車での話は尽きない。


――――――――――


昼寝から起きたレジナルドはショックを受けていた。

アリディンバリスの王家から送られてきた手紙に、指輪は送れない、とあったからだ。

「”レジナルド第二王子へ。トーラティカからの人質がジュエリーをひとつも持ってこなかった以上、アリディンバリスからの人質も同じ条件で過ごしてもらわなければならない。指輪を送ることはできないとの判断だ。受け入れてほしい。


追伸 できないこと、無いものではなく、そこにあるモノを数えて、増やしていってほしい。これは私たちがお前にしてやれる精一杯のことで、これ以上に求めてこないでほしい。父も妹たちもみな元気だ。いつもお前の体調を気にしている。健康でいてくれ。返信を待っている。お前の兄 ブレンダンより”」


手紙を持つ手が震える。

「レジナルド様…」

「捨てろ!」


マシューに手紙を押し付け、自分の部屋へ走って戻ってしまった。


夜。

使用人のビルが夕食に呼びに来たが、部屋にレジナルドの姿はない。

寝室を覗くと、うつぶせで泣いて、そのまま眠ってしまったような姿勢でベッドに伏していた。

ビルは部屋のテーブルに、冷めても味が変わらない軽食を運び、静かに部屋を出る。

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