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100日後に帰れない人質2

アリディンバリスの王城は大混乱だった。

トーラティカの国王が退位し、人質になってまで進めたい和平協定は本気の契約なのだろう。

万が一にも軽んじたり、裏切りの素振りを見せれば二国間だけの問題ではなく、他国からも契約を順守しない無法者国家として見られることになる。

アリディンバリスの国王は冷静に使者を帰した。

「それだけの覚悟と誠意を持って臨んでもらえていると充分に理解できた。不可侵条約を結んだことを大陸すべての国に伝達したならば、互いに契約を破ることもあるまい。婚約や、人質として重要な肉親を交換することは時代遅れだろう」


――――――――――


一週間も経たないうちに、再び元敵国のトーラティカから使者が来た。

国交の回復による貿易協定の協議が主な仕事ではあったが…望まぬ話題も切り出される。

「王族は伝統から外れ、自らを安全地帯に置くことを良しとしません。先王様を人質としてこの国へ送ることを了承していただけるまで、我々は帰国しないつもりです」

「先王様だと!?まさか、和平協定が結ばれたその日のうちに退位を決めたというのは本当だったのか!」

「新しい君主の戴冠式の日程もすでに決まっております。国内政治の話で申し訳ないのですが、貴族たちの反発を抑え、新国王の統治をスムーズにするためにも人質の交換に応じていただきたく願います」

「…先に国内で話を付けておかなかったのか?なぜそちらの政治に我々が…」

不満しかなかったが、出費ばかりで意味のない領土戦争を終わらせようという提案に飛びついた手前、ある程度の協力が必要な事も理解していた。


――――――――――


間者から、遅すぎる報告が議会に上がってくる。

「トーラティカの国王と、第三国を介しない直接貿易を望む貴族の一派が戦争終結に向け動いたようです。独断で大きな判断をした責任を取る形で、国王本人が人質として我が国へ来ることを望んでおり…」

報告を議員たちと共に聞いていた国王は、渋々現状を受け入れた。

「けじめをつけるなら国内でやってほしいものだ」

協議は短時間で済んだ。

「売れる恩なら売っておこうじゃないか。それよりも…」


向こうが元国王を送るなら、こちらも王族を人質として出さなくては面目が立たない。

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