100日後に帰れない人質1
「俺が人質に?」
いつものように喚いて暴れるだろうと、使用人や臣下は身構える。
「…だろうな」
その予測は外れ、第二王子のレジナルドは何も言わず自室へと戻った。
残された者達は互いに顔を見合わせ、困惑して立ち尽くす。
彼を追いかけようとした第一王子を国王が止めた。
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アリディンバリスが独立を宣言したその日から続いている領土戦争。
それを終わらせようという提案は、敵国の国王からもたらされた。
国境がほぼ確定した今、二国間にとって無意味な戦いをダラダラ続ける理由はない。
隣国トーラティカからの、100年前から続く敵対関係を修復したいという申し出にアリディンバリスの王は飛びついた。
相手が折れないうちは辞められないという理由だけで続いてきた邪悪な戦いが終わる。
国の在り方を変える大きな出来事だ。
無駄に出兵させられていた兵士や家族、教会の聖職者は喜んだが、国境沿いの街は戦争で発展してきた面もあり、素直に終戦を祝えないという報告も上がってくる。
国民も貴族も、長い間うっすら敵対してきたトーラティカとの和解に、困惑したり胸をなでおろしたり、新しいビジネスが見つかるだろうと期待したりだった。
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敵国、トーラティカの使者は伝えた。
「和平を確実なものとするために、アリディンバリス王国と人質を交換させていただきたい。我が国からは、現国王様を人質として送る用意が出来ております」
「何だと!?」
通訳を介さず大臣が聞き返した。
この国の大臣、議員は貴族と王族で構成されており、隣国トーラティカの言葉を勉強してきた者も多い。
使者は発言を続ける。
「現国王様は退位し、王位継承順第一位の長女に王位を譲る予定です。その後、人質としてアリディンバリスで暮らす覚悟が国王様にはございます。この交渉を確実なものにして帰路に就きたい、その覚悟で来ました」




