人質生活96日目
「町で買ってきました。市販品ですが、体に合いますでしょうか?」
「…ピッタリだ!」
「常識的な価格のシャツですので、予算利用の報告も通していただけることでしょう」
レジナルドは感激している。
「嬉しいぞ!…とうとう市販品が合う体型になれたのだな、俺は」
「王族なら本来はオーダーメイドなのでしょうが、作らせてばかりもいられませんからね。なるべく慎ましい暮らしをしているところを見せませんと」
別の使用人も部屋に入ってくる。
「購入だけが衣服の入手方法ではありません。こんな方法もございますよ。タフタフリッチで毛糸玉を買って来て…」
「セーターじゃないか!!」
アイボリーのベースに、所々レインボースプリンクルのようなカラフルな点が付いたセーターを受け取る。
レジナルドが早速着てみると、体にピッタリだ。
「…オーバーサイズ気味に編んだつもりなのですが、実力が足りませんでしたね」
「何を言っている!ジャストフィットで動きやすいぞ!ありがとう、毛糸玉と編む労力にかかったカネを支払おう」
「ここだけの話、毛糸玉は経費で落としちゃいました。編み物は趣味だから気にしないでください。トープのための甘イモ入れも数が増えてきましたし、そろそろ人間向けの服を編みたいと思っていたので」
「本当に感謝する。大切に着るぞ!」
テーブルの上に、冬用のマフラーと手袋、ソックスも並べられた。
外には小雪が舞いだしたが、暖かかった。
暖炉の火も朝晩だけでなく、そろそろ日中でも必要になってくる。




