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夏と私と魔法の書~不思議な男の子との約束~  作者: サトウアラレ


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12 スイカ割りとバーベキュー

「おーい。マオ、今日もあの、シリウス坊主(ぼうず)は来るのか?」


 朝ごはんを食べているとおじいちゃんが聞いてきた。おじいちゃんはシリウス君のことをシリウス坊主って言う。なんだか変なの。


「うん。今日は朝顔の絵を一緒に()こうって言ってるの。理科の宿題で、夏の植物の絵を描くって言うのがあったんだ」


「そうか。じゃあ、昼からバーベキューして、スイカ割りするぞ」


「え?」


 おじいちゃん、私は絵を描くって言ったんだけど?と思ったけど、おじいちゃんは(かま)わず話を続けた。


「じいちゃんの友達が今日、遊びに来るんだよ。なら、バーベキューでもするかって話になってな。で、スイカ持ってくるって言うから、じゃあ、割ろうぜってなったんだ。せっかくならシリウス坊主も一緒にしたらいいじゃねえか。アイツ、やった事ないだろ?」


「え!スイカ割り?(うれ)しい!!」


 おばあちゃんの方を見るとおばあちゃんも今日はパートは休みで、昨日の夜から準備を色々してくれているらしい。


「タープ出せば、暑くないだろ?ビニールプールも持ってくるって言ってたからよ。朝から来るんじゃねえか?俺は一緒に買い出し言ってくるから、シリウス坊主来たら、プールで遊んだりしてろよ。絵を描くのもいいが、とにかく子供は遊べ」


「うん!分かった!濡れて良い服に着替えよう!!」


 私は朝ごはんを食べて、()れてもいい服を出していると、シリウス君が遊びにきた。


「おはよう、マオちゃん」


「おはよう!シリウス君!今日、スイカ割りするよ!バーベキューも!あと水遊びもね!!!」


「え?」


 私がぴょんっと()ねてシリウス君の手を取って家に上げると、おばあちゃんは笑っていた。


「シリウス君、いらっしゃい」


「おじゃまします」


「今日ね!おじいちゃんの友達が来るんだって!皆でバーベキューするって!スイカ割りもするって!勿論、シリウス君も一緒っておじいちゃんが言ってたの!」


「僕も?」


「うん!」


「騒がしいかもしれないけど、よかったら一緒に楽しんでね」


 おばあちゃんはおにぎりを作ったり、サラダを作ると言うので、シリウス君と手伝う事にした。


「そうそう、上手(じょうず)。トマトを洗ってくれる?あと、キュウリも。シリウス君は包丁(ほうちょう)使える?」


 おばあちゃんがそう聞くと、シリウス君は首を傾げた。


「使った事がないので、分かりません」


「あら。じゃあ、レタスをちぎって貰おうかしら。包丁、使って見てもいいけど、怖くない?」


「はい」


「じゃあ……。キュウリのへたを切って貰いましょうか」


 シリウス君はおばあちゃんに教えて貰いながらキュウリを切って、結局トマトも綺麗に切っていた。私の方がレタスをちぎり、ゆで卵の(から)()いた。


 なんだかおかしい。私の方がキュウリも切った事があるのに、やっぱりシリウス君の方が上手だった。精霊パワーなのかな。


 サラダが出来て、おにぎりを(にぎ)って、おばあちゃんが漬物(つけもの)を出していると、玄関が騒がしくなった。


「あ、来たわね」


「おじいちゃんの友達?」


「ええ。私もよーく知ってるの」


「おばあちゃんも友達?」


「まあ、そうね」


 おばあちゃんは笑ってエプロンで手を()くと私達を手招きして一緒に玄関に言った。


「いらっしゃい」


「おお、フミちゃん!相変(あいか)わらず美人だなあ!!」


「久しぶり、フミちゃん、今日は迷惑をかけるね」


「おう、上がれ、上がれ、荷物はそこに置いてくれ」


「お邪魔(じゃま)するよ」


「はい、いらっしゃい」


 私達もペコとお辞儀(じぎ)すると、おじいちゃんの友達二人は私を見て「ああ、マオちゃんだね」と言ってからシリウス君にも「そして、こちらがシリウス君だ」と言った。


「マオです」


「シリウスです」


 私達が挨拶(あいさつ)をすると「勘蔵(かんぞう)です。よろしくね」「(しげる)だよ」と二人は丁寧に私達に挨拶してくれた。


「そしておれは(きよし)だ」


 おじいちゃんが威張(いば)って私に言った。


「知ってるよ」


 私がおじいちゃんのお腹にパンチをすると、「へへへ」と言っておじいちゃんは奥の部屋に勘蔵さんと繁さんを連れていった。


「あの三人は、『でたらめ三人組』とか『ぬけさく三人衆』とか言われててね。幼稚園から中学まで、ずっと一緒に遊んでたのよ」


「あんまりいい、三人組じゃなさそうだね」


「そうね。高校はバラバラになってしまったけど、それでも成人してから、こうして住んでいる所が違っても一年に一度は会える友達って大切よね」


「一年に一度しか会わないの?」


「そうねえ。かんちゃんはアメリカに住んでいるし、しげちゃんも東京だしね。五年ぶりって時もあったはずよ」


「遠いんだ」


「そう。でも、こうやっていつも集まってるのよ」


 私達はおじいちゃん達の邪魔にならないように奥の部屋ではなくて、居間の方で朝顔の絵を描いたりしていた。


 おじいちゃん達はいつの間にか庭に出て、タープの準備をしたり、バーベキューの準備をしたり、スイカを冷やしたりしながら、水を掛け合ったり、ビールをもう飲んでおばあちゃんが出した漬物を食べていた。


「変わらないわね」


「え?」


「あの、三人。五十年以上たっても、やってることは同じよ。マオも何年経っても変わらない友達を作れたらいいわね」


「うん」


 私はシリウス君を見つめて、頷いたら、シリウス君は優しく笑い返してくれた。



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