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8 選択の余白
だから怖くはない。
「あは‥‥いい表情ね」
笑って鎌を引っ込めた。
「なら、試してみなさい。あなたの選択肢が正解かどうだったか」
「‥‥‥‥」
「その時、また答えを聞きにくるから。それまで良い人生の旅を‥‥ね」
「‥‥‥‥」
真っ白な光が部屋いっぱいに広がって、私は目を瞑った。ゆっくりと目を開いたその時‥‥。
「どうしたの?」
友達が私の顔を覗き込んでる。
「え?‥‥あ‥‥」
何?‥‥見渡せば、いつものカラオケボックスの中。歌い終わったので、画面が止まってる。
「‥‥あの‥‥先輩が‥‥」
「先輩?‥‥誰?」
「大橋先輩だよ。さっきまでここに‥‥」
「知らないけど。そんな人」
「え?」
「ねえ! 誰か知ってる?」
他の二人は首を振ってる。知らないふりをしてるってわけでもなさそうで、本当に大橋先輩の事は忘れてしまってる。
「それより、ひなたの番だって! 早く予約を入れてよ、時間がもったいない」
「う、うん‥‥」
友達にぐいぐい来られて仕方なく適当に歌を選ぶ。
あの死神の少女は本当にいたんだのだろうか、こうしてると分からなくなってくる。
でも彼女は言ってた。答えを聞きにくると。何の根拠もないけど、いつかは本当に来ると思う。
その日まで‥‥私は生きていく‥‥私の人生の旅を‥‥。
「次は私!」
マイクを手にして歌いあげる。




