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79 麦わら帽子と、七色の切り口

「ひぃ! 何だ!」

 テーブルがひっくり返り、上にのっていたコーヒーカップが床に落ちて割れる。その瞬間、リシャンを見た店内の客と店員は大声を上げた。

「な‥‥何なんだ‥‥君は‥‥」

「せっかくの休暇中なのに‥‥気分が悪くなるじゃない!」

「た‥‥助け!」

 鎌を振り上げた瞬間、

 =その人は通常AIです、駄目です!=

「‥‥‥‥」

 勢いは止まらず、開いた男の足の間を通り抜けて鎌の先が床に突き刺さる。テーブルが二つに割れて、切り口が七色に輝く。

 男は口から泡を吐き、頭をぐったりして気絶してしまった。

「‥‥‥‥本当に?」

 =糸の形跡は全くありません。そのAIは自分で考えた事を、あなたに言っていただけです=

「‥‥‥‥そう」

 鎌を宙に消す。

 =それより早くこの場から離れるべきです。現地の司法機関が複数の車両で、ここに向かってきています=

「‥‥‥‥そうね」

 リシャンは麦わら帽子を被りなおし、それからチラっと床にこぼれているコーヒーを見つめた。

「‥‥まだ飲んでなかったのに、もったいない‥‥」

 =リシャン‥‥早く!=

 サイレンの音が遠くから聞こえてきた所で、リシャンは大騒ぎになったコーヒーショップから姿を消した。


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