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55 命の使い方
「ありがとう!」
何曲か歌い終わった私は、視界一杯に広がっている観客の光に向けて手を振って、感謝の言葉を大声で返したの。
揺れてる青白いペンライトの海。そこからたまにきこえてくる、私の名前を叫ぶ声。
一階席、二階席、三階席‥‥あそこにいる全ての人が、私の歌を聞いてくれてる。
声援が波のように私を包み込んでくる。
手を振ると、そっちの方向にいた人達から拍手の合唱‥‥。
それは十五歳だった私が見た、憧れと同じ。
幸せで‥‥体が溶けそう。
今日、この日の為に私は、あの病室で時を過ごしてたんだ。
だから、私を蝕んだ病気さえ、今は感謝している。
どんな辛かった日々も、その積み重ねで今の私があるんだから‥‥。
「それでは、いよいよ最後になりました! この歌は、私が作詞。作曲した初めての歌です」
いいぞー‥‥の声が聞こえてきたので、そっちの方向に手を振る。
「それでは、聞いてください‥‥」
大きく息を吸い込む。
「命の使い方」
そう言うと、歓声で迎えられた。




