49 仮想世界の晩餐会
「‥‥どういう‥‥」
「‥‥さ、入って」
明らかに今までいた場所とは違う。ニホン‥‥という国とは違う、別の国に連れていかれたみたい。
中に入ると、照明が全部ロウソクの灯りで、上にはいくつものシャンデリア、壁とテーブルには燭台が置かれていて、かなり明るい。石造りの床の上には白いテーブルクロスがかけられた四人がけの木製の丸テーブルが十ぐらい置いてある。暖炉から漏れてくる穏やかな温かさで、広い室内は満たされていた。
「ビアブニィ、ブ、ベゼラ‥‥」
黒い服を着たウエイターにみたいな人が、話しかけてきたけど、意味が分からない。
「エヴェク、ディ、ペソネス」
リシャンは自然に答えてる。私が戸惑ってる顔をしてたのを見た彼女は指をパチンと鳴らした。
「ようこそ、いらっしゃいました」
ウエイターの人の言葉が、今度は分かった。
上着を脱いで渡すと、席に案内された。
「今日は特別。さあ、何でも頼んで。‥‥と、言っても、体形が変わるのは駄目だからね」
「‥‥う‥‥うん」
食べて良いような悪いような‥‥微妙な感じ。
メニューを開いたけど、何が書いてあるかさっぱり分からない。
「じゃあ、私が適当に頼むから」
リシャンは係の人を呼んだ。
そしてメニューに指さす。
「ここから‥‥この辺まで」
「かしこまりました」
「‥‥‥‥」
今、何だか凄い頼み方してなかった?
そんな私の思惑は当たってたみたいで、次から次へと料理が運ばれてくる。
最初は皿だけ大きくて、実際は中央にちょこっと盛り付けてある程度。量は大した事がないのかと思ってたけど。絶え間なく運ばれてくる料理に、私は呆れるを通り越して、笑いが出てくる。
お肉、お魚‥‥良く分からないもの‥‥とにかくいっぱい食べた。
現実の世界だと、もう口には出来ないものばかり。特に私はずっと流動食だったから感動も一層強い。
「これからの躍進に‥‥乾杯!」
リシャンは悪戯っぽい表情で、グラスを渡してきた。




