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48/70

48  全く、面倒臭い

「うまくいったでしょ」

 リシャンは私が言う前に、そう決めつけてきた。

「‥‥どうかな」

「あなたは大丈夫」

「‥‥どうしてそう思うの?」

「背負ってきた重みが違うから」

「え?」

「これからは芸能事務所の方針に従っていけばそれでOK。基礎が既に出来てるあなたは、他のコ立より頭一つも二つも抜きんでてるから、すぐに上がっていける」

「‥‥‥‥うん」

「じゃあね」

 リシャンは手をひらひらさせて背を向けて歩いていこうとした。

「ま、待って!」

「何?」

 振り向いた彼女の表情はいつもの通り、白面で静かな笑みを浮かべてる。

「じゃあ、リシャンは‥‥もう‥‥いなくなるの?」

「そうね。これでガイドの仕事は終わり。あとはあなたの夢を叶えるだけ。良かったわね」

 夢が‥‥叶う‥‥まだ先の事だと思う。不思議と彼女がそう断言してくると、絶対にそうだと思ってしまう。

「その‥‥」

「まだ何かあるの?」

「えっと‥‥あ、そうだ! お祝いに、何処かに食べに行きませんか?」

「‥‥‥‥」

 彼女は漆黒の瞳で私を見てる。言ってみて思ったけど、リシャンは食べたりするんだろうか。今までどうだったかと言うと、飲み食いしてる所を見た時がない。

「‥‥フフ」

 こらえきれなかったかの様に笑った。

「じゃあ、何処かに行きましょうか。何処がいい?」

「それは‥‥えっと‥‥」

「全く、面倒臭い!」

「え?‥‥うわ!」

 リシャンに手を掴まれ、驚く暇もなく私は別の場所に立っていた。


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