44 魔法みたいな瞬間
「そう、今から」
「すぐに行くの?」
「だからそう言ってるでしょ。もうアポは取ったからキャンセルは出来ないの。早くして」
「!」
言われてすぐに着替える。と、言ってもここはボイトレ教室。そんな服は持ってきていない。家に戻っても‥‥何かあったかな。ほとんどジャージしかなかったような‥‥。
「今日は特別」
リシャンが目を細める。見つめられた瞬間、私は、今着てた白のジャージとか、その下の下着がパッと消えた。
「え?」
当然、身に着けてたものが何も無くなったで、完全な裸。
「うわ!」
驚く間もなく、リシャンが抱き着いてきた。
「あの‥‥」
「じっとしてて‥‥計測してるから」
「‥‥‥‥」
彼女の温もり‥‥温かさを感じる。
顔は真っ赤。私もリシャンの腰に手をまわした。
「体形はだいたい目標数値の範疇ね」
私の体が光りだして、目を瞑る。瞼ごしの光が無くなった時に、やっと目を開くと、私は服を着ていた。
「‥‥‥‥」
上は薄いベージュのシャツで、胸元には同じ色の紐が蝶々結びされてる。茶色と黒のチェック柄のワンピースで、全面には二列になってる黒いボタンがアクセント‥‥になってるのかな? 肩には灰色の小さなポーチ。髪もポニーテールになってる。
「‥‥凄い」
まるで魔法みたい。
ここは仮想世界だから、これは単なるパラメーターの変更だって事は知ってるんだけど、やっぱり魔法にしか見えない。




