34 仮想世界へようこそ
十五歳の時の私がそこにいる。
誕生日に行ったライブ‥‥とても感動して見てた記憶がある。
それから一年後、まさかあんな事になるなんて思いもしなかった頃。
もう二度と立つ事も出来ないと絶望してた‥‥でも‥‥。
「‥‥‥‥」
立って鏡を見てるだけで‥‥涙が出てきた。頬を伝わっていく涙の感覚もしっかりと分かる。私は手でその涙を拭おうとして‥‥まだその事にびっくりする。
私は自由に体が動かせる。そしてあの景色の中に入っていける。
私はやりたい事が出来るんだ。
“気分はどう?”
「!」
ドアが開いた気配はなかった。でも突然後ろから声が聞こえて振り向いたの。
「ようこそ仮想世界013へ」
そこにいたのは、私と同い年ぐらいの少女。袖と襟に赤のラインの入った真っ白な長いコートを羽織っている。髪は両脇で束ねていて、肌はコートと同じくらい真っ白。対比で真っ黒な瞳が目立ってて、目じり周囲が少しだけ紅潮している様に見える。
仮想世界に入ったら案内人がつくと、事前説明があったけど、多分、彼女がそう。
あんな少女? だとは思ってなかったけど。
「ガイドの方ですよね」
「一応、そういう事になってるわね」
「‥‥‥‥」
思っていた反応と違う。彼女は歳の割に‥‥というか、管理局員のわりに、すこしぶっきらぼうな感じがする。
「初めてこっちの世界に来た感想はどんな感じ? ヒビカ、ムラシタ」
「え?‥‥そうですね‥‥」
何て答えればいいんだろうか‥‥色々ありすぎて、言葉が出てこない。
「まあ、でしょうね」
彼女はなぜか納得して少し笑みを浮かべた。
「ここは仮想世界013。元のリアル世界の昔の世界の再現。人がまだ幾つかの集団に別れていて互いに争い、技術も未熟でこの地表からは離れられないで生きていくしかなかった、そんな時代」




