23 消えた少女たちの絵
「‥‥‥‥」
そこに描かれていたのは、制服姿の女子生徒。リシャンが今、着ているこの学校の制服と同じだった。
まだ下書きで鉛筆画の状態だったが、彼女達の表情は細かく描かれており、それが誰かはすぐに特定出来る。
全ての絵のモデルは、失踪した‥‥と、言うより存在が消されたクラスメイトの少女達である。その中には、つい昨日、リシャンが救って、他の場所で復帰させた者も含まれていた。
存在が消えたなら、肖像画が残っているはずがない。
「綺麗なコたちね。彼女たちはどこで?」
「‥‥‥うん‥」
柳瀬は言葉を詰まらせる。
「僕はその絵を描いた覚えがないんだ」
「じゃあ、このモデルはどうしたの? あなたの想像?」
「いや‥‥想像では描いてないと思う。僕はただ‥‥」
「‥‥‥‥」
柳瀬は何かを言いかけてやめた。
嘘を言っているようには見えない。かと言って全てを話してるでもない。
何れにしても、この絵からして、彼が一連の事件に関与している事は明らかになった。
どうすれば彼に全てを自供させる事ができるのか‥‥リシャンは自分の中で自問自答する。
クロウに言って彼の行動や思考のログを取ってもらえば、だいたいは分かる。だが、それで全てを理解する事が出来るとは、リシャンは思ってはいない。
その表層の裏、もしくは底に、真実はいつも隠されている。
そう信じて疑わなかった。
考えている間にも、柳瀬は手を動かしている。キャンパスの上を滑る鉛筆の音が、心地の良いリズムを刻んでいく。
そうして小一時間も経った頃。
「‥‥違う‥‥こうじゃない‥‥」
柳瀬の顔が苦渋に歪みだす。




