181 受け入れられない正解
=正確には、肉体を持つ人類がいないという事で、本質的に滅んだわけではありません。人類の肉体の遺伝子、DNAは、保管されており、仮想世界の中で生活をしています=
「‥‥‥‥その管理者があなたって事?」
=そうなります。私はこの箱庭世界の維持を目的として作られたコンピューターです=
王冠の女性は長いスカートにも関わらず、器用に瓦礫の上を歩いた。
=最初の質問の返答がまだでしたね。‥‥管理局の命令でテロリストの排除を目的に活動していたあなたは、いつしかそのテロリストと共に、反旗を翻してここにきた。その目的は‥‥私達が下した、仮想世界の運営方法に異論があるから‥‥そうなのでしょう?=
「‥‥‥‥」
リシャンは黙って頷いた。
=私はこの世界を維持する事を目的としています。その最も良い選択は、歴史を人間の自由意志に委ねない事‥‥幾つかの仮想世界で試験した所、それが正解という結論に至りました。あなたも見たはずです。全く介入しない世界がどんな末路を辿ったかを=
「‥‥‥‥」
彼女が言っているのは、捨てられた世界013の事に違いない。
確かにあそこは死滅した世界だった。
=それを目撃してもなお、それに反論してくるその根拠を教えてくれませんか?=
「聞いてどうするの?」
=それを一つの論理として再度検討し、統合政府による徹底管理の正統性を確実なものにする為です=
「‥‥気に入らない」
リシャンは彼女を睨んだ。
「その口調だと最初から決めつけてるじゃない? 変更の余地があるの?」
=変更の確率はほぼ0%です=
「‥‥は!」
リシャンは鎌を彼女に向けた。
「だったらこうするしかないんじゃない?」
=‥‥‥‥この世界は今、危機が迫っています。他の箱庭世界の攻撃範囲にあと数日で入ります。その戦に負ければ、この世界は消されてしまいます。時間がないのです=
「‥‥他の‥‥箱庭世界?」
こんな世界が複数ある? 戦い?
=‥‥それでは賭けをしましょう。私達がこれからあなたに真実を見せます。それでも、なお、考えを改めないのかどうかを‥‥=
「‥‥‥‥」
返事をする前に周囲は眩い光に包まれた。




