↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
177/188

177 資料室前

    挿絵(By みてみん)

 この横倒しの円柱世界の端‥‥そこの淵の円に窓のようなものがたくさん見える。門があり、そこには四人程の人間が立っており、人の背丈の倍以上ありそうな二脚式のロボットの姿もある。それだけではなく、正面の塀のまわりには、自動認識攻撃型の銃も配備されている。

 仮想世界の管理局の護衛‥‥と一括りにするにはあまりにも大袈裟だ。これはいよいよ、あの仮説が正しいと証明されてくる。

「‥‥さすがにあれは骨が折れるわね。何とかなる?」

「‥‥やってみます」

 クロウが衛士の一人に詰め寄り、何かを話している。するとすぐにクロウが手招きした。

「‥‥‥‥」

 リシャンは用心深く近づいた。武器はいつでも出せるようにスタンバイしておく。

「了承が取れましたので、中へと入ります」

「‥‥‥‥」

 リシャンは門の間を通り抜ける。もし彼らを相手にしなければならなかった場合、奥へと侵入出来る可能性は限りなく低い。

「‥‥ふう」

 ゲートが一瞬だけ開いたが、それは一人分だった。リシャンはクロウの後ろにぴったりと密着して通過する。

「‥‥‥‥」

 中は窓の無いただ延々と通路に扉のある建物だ。天井自体が淡く光っているので薄暗さは感じないが、閉じ込められているような閉塞感は半端なく襲ってくる。入口から奥までどれほどの長さがあるのかは分からないが、果てしなくどこまでも続いている。

「‥‥私も中に入ったのは初めてなので、内部構造がどうなっているのかまでは分かりません。これからは同時に調査をしながらの移動になります」

「あなたのIDが使えるんじゃない?」

「‥‥それもどこまで有効なのかは定かではありません。本来は私が来る所ではありませんし」

「じゃあ、何て言って通ったの?」

「それは‥‥局長に見せたい資料を持ってきたと言って、内容は極秘にしたのです。ですので、早くしないとばれる可能性があります」

「‥‥結構ザルね」

「そのおかげで我々はここにいられます」

 クロウは肩をすくめてまた歩きだす。

「やっぱり局長っているのね」

「いるんじゃないですか? 局と言ってるからにはまとめる者がいるはずです」

「‥‥‥‥」

 ここにきてクロウの意外な性格が分かってくる。

 彼は意外と適当で場当たり的だ。

「‥‥ここが資料室のはずです」

「‥‥‥‥」

立ち止まったのは一つの扉の前。他の扉と全く同じ。名前札も何もついていない。ただ取っ手だけが付いている。

 クロウがドアノブに手をかけた。

 ノブは回転したが。

「‥‥開かない」

「‥‥‥‥」

 さすがにそこまでセキュリティーが甘くはなかったらしい。こうなったら無理矢理こじあけるしかないが、その場合、すぐにアンチウイルスが飛んでくる。調べる時間が限られてしまう。塔の時とは違い、ここでは十分に時間が欲しい所だ。

「あ!」

「!」

 クロウが声をあげた。リシャンは武器を出しそうになったが。

「これは引き戸でした」

「‥‥‥‥」

 クロウはそう言ってドアを引っ張ると、ドアは音もなく開いた。

 部屋の中は白い光で眩しく、中に入ってもしばらくは目が慣れるのに時間がかかりそうだ。

「では‥‥入りますよ」

「‥‥‥‥」

 リシャンが大きく頷くと、先にクロウが中へと入る。

 この中に全ての真実がある‥‥胸に手を当てる。

 ここに至るまで出会ってきた多くの人がこの胸の中にいる。彼らと共にリシャンは一歩を踏み出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。