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171/188

171 経験という力

「ぐはっ!」

 鎧のおかげで切り裂かれる事はなかったが、衝撃がリシャンを襲い、体勢を崩した戦乙女は、遥か下方の路上へと叩きつけられた。

 落下の衝撃が四方に広がり、近くの建物の幾つかは崩れ落ちる。

=リシャン!=

 大きく抉れた地面の中央に、赤鎧のリシャンが横たわっていた。

「‥‥こんな‥‥事で‥‥」

 力を込めて体を起こす。

 自分の中を通り過ぎていった人々の顔が流れていく。

 そんな人々の想いを受けとっている。

 偽物に負けるはずがないのだ。

「‥‥私は‥‥負ける‥‥ものか‥‥」

 見上げれば黒衣のリシャンは翼を羽ばたかせて、静かに降りてくる。対照的にトン‥‥という小さな音だけで大地に降り立つ。

=‥‥なぜ‥‥全てのスペックが‥‥勝っているのに‥‥=

「そうね、上回ってるのは経験ぐらいかもね。でもね、それが分からないから管理局‥‥統合政府は間違った判断をしてしまう‥‥それが分からないんでしょうね。シャオティンにも同じ事を言われなかった?」

=‥‥‥‥=

黒衣のリシャンが近づくと、赤のリシャンは何とか立ち上がった。額からは血を流している。よくよく見れば肩も負傷しているが、恐らくはシャオティンがつけたものだろう。

「まだ‥‥勝負はついていない!」

 剣の切っ先を向けてきた。

「勝負はこれからっ!」

「全く、同感、さすが私!」

「はああああ!」

「‥‥‥‥」

 同じ声の二人は同時に得物を切り結んだ。

 その衝撃は、廃墟に残ったビルの壁を吹き飛ばしていった。



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