165 説得は通じない
=どうにも向こうの方が何枚も上手のようだ=
「‥‥‥だからと言って降参するわけにはいかないでしょ」
レイブンの言葉にリシャンは不敵な笑みで返した。
「リシャン、こちらの攻撃は弾かれてしまうようです。もっと大ダメージを与える必要があります」
「‥‥そんな都合良く‥‥」
言葉の途中で光の剣が斜めに降ってきた。剣は一本のはずだが、その軌跡は無数の針のように見える。
「‥‥ぐ」
リシャンの腕の何か所かが切り裂かれる。
「レイブン!‥‥彼女のあの状態について何か情報はない?」
=‥‥恐らくはそう長くは続かないとは思うが‥‥あれはサーバーに負荷をかけすぎている=
合流したシャオティンが間に入る。
「‥‥だとしても、この空間自体を捨て駒にするつもりなら、そんな事は気にしないでしょうね」
=いや、負荷は彼女にもかかる。彼女を構成するプログラムがその情報量に耐えられなくなるだろう=
「‥‥って事は持久戦に持ち込めばいいって事?」
=そうもいかんかもな。無限に行動出来ないだけで、その持続時間がどれほどかは分からない=
「‥‥全く!」
「!」
シャオティンは赤い鎧のリシャンの振り降ろした剣を笛で受けた。笛は真っ二つに切断され、シャオティンの胸を切り裂いた。
「‥‥ぐ」
=シャオティン!=
「大丈夫、傷は浅いから」
シャオティンはそう言いながら、手に長柄の武器を取り出す。先端にうねった金属がとりつけられている太い棒だ。
「これならそう簡単には壊されないはず」
=しかし‥‥=
「逃げるにしても、向こうの方がスピードは上‥‥やるしかない」
=いっその事、事実を彼女に話してみてはどうだ? 統合政府と管理局の真実を伝えれば‥‥=
「無駄ね」
地上に降りてゆっくりと歩いてくる自分と同じ姿の少女を見つめながら、即答した。
「彼女は彼女の信じるものの為に戦っている。それは私も同じ。あなた達もそうでしょ?‥‥私が真実を知る為にどれだけの時間が必要だったか‥‥。しかも、結局は目で見たから信じた。彼女は人の言葉で信念を曲げたりはしない。それはシャオティン‥‥あなたも知ってるでしょ?」
「ふふ‥‥そうね」
シャオティンは目を閉じて笑みを浮かべた。
「あなたほど、頑固な人はいないと思うわ」
=ではどうする? このままではじり貧だぞ=
「‥‥‥‥一つだけ手がある」
シャオティンが懐から小さな細長いものを取り出した。




