164 勝敗は見えている
すぐに距離を取る。リシャンは後を追わなかった。
攻撃したと同時に偽物リシャンが上から鎌を振り上げてくる。その事実は既に分かっていた。
数秒間だけ時間を巻き戻す事が出来る。その力を駆使する事で、どんな不利な状況でも覆す事が可能となっている。
振り向く事なく無造作に剣を掲げる。鎌は弾かれて偽物リシャンはよろけた。
「何⁈」
よろけながら鎌の先端で鎧のリシャンを突く。が、その攻撃も盾で弾かれた。
「‥‥‥‥」
偽物リシャンとシャオティンは左右に別れた。
「‥‥‥‥なるほど、コンビネーションはばっちりって事ね」
リシャンは左右に素早く視線を走らせる。最初にリシャンが攻撃して、次に笛で目くらましをしたシャオティンが真後ろに回る‥‥。それらは画像として、リシャンには見えていた。
「‥‥‥‥」
分かっていたが、敢えて動かずに攻撃を受ける事にした。
すぐに予測通りの動きがあり、偽リシャンの鎌の切っ先が、脇腹に迫った。
が、カシン‥‥という金属音が響いただけで、その刃は鎧の奥には届かなかった。
「はっ!」
シャオティンの姿が消える。その直後、背中に笛が突き立てられた。
結果は鎌と同じだった。
シャオティンは唇を噛む。
「‥‥‥‥ふふ」
リシャンは笑った。これでテロリストを一掃できるのは間違いない。
=油断は禁物ですよ=
「もちろん」
「この!」
偽リシャンが柄を伸ばして鎌を突き立ててきた。
「‥‥無駄な事を‥‥」
リシャンがその赤い刃を剣で受ける。
「そんなもので!」
「!」
偽リシャンの持っていた鎌は、光の剣で刃を斬られた。
「‥‥まさか!」
鎌の刃は空へと上がり、緩やかな弧を描いて路上に転がった。




