163 私が私である理由
「私が偽物だと言ってるみたいだけど、それを決めるにはまだ早いんじゃない?」
クロウが遮った。
=リシャン! 奴らは言葉で惑わしてくる!=
「分かってる!」
一瞬、姿勢を下げてそこからダッシュして、偽物リシャンに迫る。
「テロリストの言葉なんて!」
「!」
二つの鎌が重なり合い、赤い火花が、密着した二人の顔を照らす。
「む!」
刃を合わせていたその時、シャオティンが脇から笛を突いてきた。横眼でその軌跡を確認しながら、後方へ飛び退き、二人から距離を取る。
「私を忘れてるみたいね」
シャオティンは笛を口に当てる。穏やかな旋律が、廃墟の街に響き、直後、足元の瓦礫が盛り上がり、鋭い破片が襲ってきた。
「‥‥‥‥」
リシャンは鎌を回転させて弾き返した。跳ね返った欠片が路上や壁に突き刺さる。
「クロウ!」
=了解です。監視者権限に基づき、緊急事態SSに属する事項と判断。特SS能力をエージェント、リシャンに貸与=
「‥‥‥‥」
目もくらむ程の白銀の光が辺りに満ち溢れ、リシャンの姿が見えなくなる。
流れる光の球はまるでそれが花びらのように流れていった。
「‥‥‥‥」
リシャンはいつの間にか閉じていた目を開く。
身に着けていたのは深紅の鎧、具足、小手‥‥金色で縁取られた同じ赤色のカイトシールドを手に携えている。
そして背中には大きな天使の翼‥‥恐らくはこれで自由に空を舞う事が出来る。
「‥‥ふふ‥‥あは!」
リシャンは腰に下げていた筒を掴む。そこから青白い光の剣が伸びた。
「随分と派手になったじゃない」
偽物リシャンが睨んでくる。
「‥‥格好だけじゃない‥‥これで‥‥」
リシャンはシャオティンに向けてダッシュした。
反応速度が加速されており、シャオティンが気が付いた頃には既に正面にリシャンが立っていた。
「!」
「終わり!」
「!」
シャオティンは笛で受けた。衝撃が全身を襲い、服のあちこちが破れて血が噴き出す。
「‥‥く」




