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162/188

162 私を名乗る敵

=リシャン‥‥あなたは生きていけますよ。この世界で誰よりも自由に=

「どうして、そう思うの?」

=あなたが倒れる姿を、私は見たくはないからです=

「あは‥‥つまりクロウが保証してくれるって事?」

=そう思ってもらっても構いませんよ=

「‥‥‥‥」

 からかったつもりが、そのまま返してきたのでリシャンは口ごもる。

「‥‥ねえ」

=何でしょうか?=

「クロウは‥‥私と管理局との橋渡し役だけど‥‥それだけ?」

=‥‥‥‥=

「‥‥‥‥」

 しばしの沈黙が流れた後、クロウが先に口を開く。

=私は‥‥あなたを死なせたくはありません。その光景は‥‥悲しすぎます=

「‥‥‥‥」

 答えになっているような、無いような‥‥リシャンはため息をついた。

=‥‥所で、今回はあなたの偽物も混じっているようです=

「へえ、テロリスト界隈では私も有名になったものね」

=まあ、所詮は偽物です。今のリシャンの相手にはならないでしょう=

「‥‥そうかもね」

細かな振動が伝わってくる。地面が揺れているというよりは、空間そのものが揺れている。どこかで鉄板が引き裂かれる甲高い音が響いた。

=奴らがきます。注意してください=

「‥‥‥‥」

 リシャンは正面の壁を睨む。黒い渦が現れ、そこから黒い風が吹き出す。

 風がやんだ後、霧となって残り、それは二人の人影に変わっていった。

「‥‥‥‥あれが」

 リシャンはビルの上から飛び降りた。その途中で鎌を出現させる。

 人影はこちらをじっと見ていた。

 一人は黒髪、長髪の女性、シャオティン。もう一人は赤い着物の少女。おまけに、大きな鳥のようなものもいた。

=あなたの推測が正しかったようですね。テロリストの本隊はこちらで正解でした=

 足元のクロウが呟く。

「全く、性懲りもなく世界を歪ませようとするなんて‥‥」

 鎌の柄の先を掴み、大きく振り回す。何段かに縮められていた柄が伸びる。

「来い! シャオティンと私の偽物! この世界の全てのAIの為‥‥テロリストは排除する!」

鎌を振る。崩れかけた鉄の地面の上を、衝撃波が走っていく。赤い着物のリシャンは同じ仕草で鎌を振り上げ、その波をぶつけて消した。

「いきなりご挨拶ね」

 赤いリシャンはそう言って笑った。


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