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161/188

161 終末都市のリシャンとリシャン

そこは廃墟の街だった。三百階を超すビルが立ち並び、その上空には電磁フィールドが、オゾン層が破壊された後の世界を守っていたはずだ。仮想世界013の設定年から二百年後の街がそこにある。

だがそれはもう廃れた技術のはずだ。環境破壊は紫外線だけの問題ではなく、急激な温度上昇、海水の蒸発にともなう海面の低下、そこからくる潮汐力の低下‥‥地軸の乱れまで起きるのは、これから百年もかからなかった。

 リシャンは歴史でその事を知ってはいた。が、目にするのは初めてだった。

 ここに人はいない。動物も植物も‥‥ただ崩れつつある世界だ。

 異常なまでに乾燥した大地は、致死性の毒の混じった風が吹き荒れ、リシャンの髪をはためかせた。

「‥‥‥‥」

 斜め後ろにシャオティンが立っている。ひび割れた地面は、前に見た破棄された013とは違い、そこから植物が這い出ている事はない。

=精巧に出来てはいるが、これは仮想世界だ=

「‥‥あんたも来たの?」

 レイブンが周囲を見渡している。

=見届けなければならないからな‥‥それより‥‥=

“読み通りね”

「!」

 どこからか声が響き、二人は武器を手に身構える。風が舞って位置は特定できない。

 その声には聞き覚えがあった。

「‥‥お前は‥‥」

 リシャンは鎌を持つ手に力を籠める。

 崩れかけた建物の奥の窓から誰かが大地に降りてきた。

 その人物は高校生の制服を着ていた。そして手には大きな死神の鎌を持っている。

「‥‥リシャン‥‥」

 そう呟くと、制服の少女は笑みを浮かべた。

=あなたの推測が正しかったようですね。テロリストの本隊はこちらで正解でした=

 この世界では存在しないはずの、カラスが彼女の足元にとまった。

「全く、性懲りもなく世界を歪ませようとするなんて‥‥」

 制服のリシャンは鎌を振って柄を伸ばす。

「来い! シャオティンと私の偽物! この世界の全てのAIの為‥‥テロリストは排除する!」

「‥‥‥‥」

 三人は同時に武器を構えた。



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