160 管理局中枢への入り口
=今回の襲撃はリークしてある。だが、優先順位としては低いと考えているだろうから、こちらに管理局の本隊が来ることはない。だとしても時間をかけるわけにはいかない=
「そうね」
リシャンは片手で鎌を振って、マネキンの胴を二つに割った。かなりの数のアンチウイルスだが、今の所はシャオティン達が防いでいる。このまま潜入出来ればこちらの勝ちだ。
「あとどれぐらい?」
ランユーの後ろに立ったリシャンは、接近してきたマネキンを切り捨てる。
「あと‥‥少し‥‥」
直接ランユーを狙ってきたマネキンの胴を横から薙ぎ払う。マネキンは奇声を発して倒れて消えた。
「通った!」
パネルが消えて、そこには丸い黒い穴が現れた。光は全く反射せず、闇そのものであるかの様だ。人一人なら通っていけそうな大きさだ。
「行ってください。ここは私たちが引き受けます」
ランユーは宙から弓を出した。
シャオティンは頷く。
「行きましょう、リシャン。ここからはあなたの力が重要になってきます」
「置いていって良いの?」
ウイルスは無限に沸いてくる。
チェンランが戦っている方に視線を向けたが、
“何で私だけが!‥‥皆、皆、消えちゃえ‥‥なん!”
笑いながら小太刀で次々と敵を消し去っている。
=‥‥大丈夫そうだが=
レイブンがそう言って確認すると、リシャンは穴の前に立つ。
「入った先はどうなってるの?」
「管理局本部のサーバーの内部です。そこから統合政府へのパスを探っていきます。詳しくは分かりません」
「だったらランユー‥‥っだけ? あなたも一緒に行った方がいいんじゃない?」
「私は直接戦闘は得意ではありません。バックアップした方が役にたてます」
「なるほど」
つまり先に行けるのはシャオティンと自分だけ‥‥そう思ったリシャンの胸中は複雑だった。
「じゃ‥‥行くか‥‥」
「はい」
先にシャオティンが、次にリシャンが穴へと飛び込んだ。
“‥‥‥‥”
何もない虚無の空間。それには見覚えがあった。
塔の中から奥に進んだときと全く同じで、体がない。
ただ考える “意志” が存在しているだけだ。
三次元的空間も時間という概念もなく、ただあるだけ‥‥永遠も一瞬も同じ事。
不安‥‥恐怖‥‥そんな感情は発生しない。ただそこの一部となってあるだけだ。
そうして白‥‥光というものを思い出した頃‥‥。
「‥‥‥‥」
リシャンは目を開けた。




