150 敵でも味方でもない
冗談じゃない‥‥と、言いかけたが、
「その事についてはあとでお話しましょう。今はここを離れます」
「‥‥‥‥」
言い返せなくなり、リシャンは黙って三人の後をついていく。
=リシャン‥‥ヴァイアスとは何だ?=
隣に来たレイヴンが聞いてきた。
「仮想世界を壊そうとしてる連中。要するにテロリストって事」
=まさか! シャオティンがそんな事をするわけがない=
「だったら本人に直接聞けば?」
話してる間に先行している三人は、マンションの屋上に降り立った。シャオティンが手を上げると、空にシャボンのような虹色に光る薄い膜が現れた。
「‥‥これで管理局は見失ったはず」
三人はシャオティンを先頭に近づいてきた。リシャンは反射的に身構える。
「まずは自己紹介をしましょう。私は‥‥知ってるわよね」
「‥‥‥‥」
リシャンは何も答えず、シャオティンを睨む。
「フフ‥‥こっちはランユー。ピンポイントで相手のプログラムを探ったり、変更したりが出来る凄腕」
「‥‥よろしく」
弓を持った長い髪の女性‥‥ランユーは、全く表情を変えずにただ頭を下げた。
リシャンの返事を待たずにシャオティンはもう一人を紹介する。
「それで彼女がチェンラン。プログラムの破壊の速度は、右に出る者はいない」
「よろしくなん!」
「‥‥‥‥」
リシャンが無言でいると、チェンランは笑顔が曇った。
「シャオティン! うち、こいつ嫌いなん!」
「!」
チェンランの小太刀がリシャンの喉を狙った。
「‥‥やめなさい」
シャオティンが笛でその刃を弾くと、リシャンはニヤと笑った。
「どうせそいつら二人はリアル世界で接続してる思想主義者なんでしょ」
「‥‥‥‥」
シャオティンは頷く。
「私たちはこんな感じ。他にもいるけど今は他の事で手が離せない」
「‥‥‥‥エージェントにそんな事を話していいのかしら?」
「あなたはもうエージェントじゃないわ」
「‥‥‥‥」
「既にこの世界にはリシャンというエージェントが存在している。‥‥切り離されたあなたは今はただのウイルスでしかない」
「だとしても‥‥」
リシャンは鎌をシャオティンに突き付けた。鼻先まで数センチの位置に刃が置かれる。
ランユーとチェンランは武器を構えた。




