15 リアルと虚構の狭間で
初夏という事もあり、陽射しはまだ強く、補導のアスファルトを照らし出す。街路樹の葉が、時々行き過ぎる車の風に揺らされていた。
リシャンは下校中の道を歩いていく。徒歩で向かうその先には、リシャン‥‥遠野ユズリハの住むマンションがある。最も、それはつい先日まで存在しなかったマンションではあったが。
それは遠野楪という転校生という存在も同じだ。
「全て架空‥‥リアルの私の身体は施設のカプセルの中で眠ってて、ここにいない。‥‥それでも意識はここにある‥‥。ふふ‥‥どっちが本物と言えるのかしらね」
「何か言いましたか?」
「別に♪」
リシャンはいつになく機嫌の良い口調で答える。
「全く‥‥」
それとは対照的にクロウは少し不機嫌そうに見える。不機嫌というよりも呆れていると言った方が近いかもしれない。
「あれほと、目立たないように言っておいたのに、注目されすぎです。あれではテロリストに警戒されてしまいますよ」
「別に目立つ事は何もしていないけど?」
リシャンからしてみれば地味にクラスで自己紹介して帰ってきただけだった。それでも、認識阻害を解く事による周囲に与えるインパクトは絶大である。その事を当のリシャン本人は理解しているのか、していないのか、それともわざとか‥‥恐らく本人にも分かっていない。
クロウはため息をついた。
「ふふ‥‥私の外見は年月の変化を予測して作られているわけでしょ?‥‥つまり、素のままって事。本物と同じって事」
「それが気分が浮ついてる原因ですか?」
「さあね」
そう言いながらもリシャンは笑みを浮かべる。




