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148 真実の扉を越えて

挿絵(By みてみん)

「‥‥‥‥ふう」

=よく分かったな?=

「当然、私だったらそうするだろうし。そんな分かり切った行動をした時点で彼女の負け」

 鎌を持ち直す。

=‥‥で、お前は気にならないのか? 同じ姿の者がいた事が=

「考えるより、確かめた方が早いんじゃない」

 リシャンは奥にある部屋を見つめる。扉は金庫並みに分厚い。丸い回転式のハンドルを回して開く為にはパスコードが必要のようだ。そんな扉が複数。奥にあるのがこの世界からの脱出口のようだ。

=今ので管理局に見つかった。残念だが探索してる暇はなくなった。早く脱出した方がいい=

「せっかくだから、少しぐらいはね」

 鎌を×状に振ると、鉄の蓋は、なますの様に切り落とされ、転がった蓋の音が辺りに鳴り響く。

 部屋の中には旧世代のパソコンが置いてあった。

=どれ=

 レイブンが座る。翼でどうやってキーを打っているのか分からないが、画面には図式入りで様々な言葉が表示されていった。

=‥‥‥‥=

「どう?」

=そうだな=

 レイブンはすぐには答えずに、別の文字を浮かび上がらせる。

=‥‥‥‥=

 無言で操作し続ける。

「どうなの?」

=それがな‥‥何から言って良いか分からんが‥‥=

 レイブンはリシャンの顔を見る。

=いや、お前なら大丈夫だろう。時間がないからかいつまんで言うと、統合政府と言う組織には人間は関与していない。一つのAIがその下部組織である管理局を動かしているようだ=

「人間‥‥じゃない?」

=統合政府‥‥つまり超巨大AIが、人間を管理しているという事になるな=

「‥‥‥‥検証は後ね。それで、この仮想世界の目的は?」

=AI的に、ここは人間というものを推し量る実験場のようだ。人間を自由に行動させる事でどんな歴史を刻んでいくのかをな。思考を含めて完全に統制した方が人間の為か、それとも自由にさえた方が良い結果になるか‥‥=

「だから管理局は歴史不干渉を徹底させていたの?」

=‥‥そういう事になるな。あとは‥‥この破棄された世界はプログラム的に時間が加速されている‥‥その目的が‥‥兵器の開発‥‥なるほど、そうやって開発期間を短縮するのか‥‥しかし、何の為に?=

「‥‥‥‥」

 けたたましくサイレンが鳴った。

=いかんな、時間切れだ。すぐにここを離れよう=

「‥‥了解」

まだまだ知りたい事があったが、さっきのように新たなリシャンが何人も投入されるとやっかいな事になる。すぐに外に飛び出すと、出入口に当たる扉の蓋を切り裂いた。

「‥‥‥‥」

 部屋の奥は見えない。ただ真っ黒な何もない空間が広がっている。

=急げ!=

「‥‥‥‥」

 リシャンとレイブンは穴に飛び込んだ。

「‥‥‥‥」

 途端に体の感覚が消失する。何もない感覚‥‥それは例えるなら、死‥‥が一番近い。

時間を推し量る事が出来ず、一瞬とも永遠とも感じられたその後、瞼を感じてゆっくりとその目を見開く。

「‥‥‥‥」

 頭の上に街が見える、重力が逆に作用しており、体を上下逆にすると、そこは塔の先端だった。

 遥か下には車や人がひっきりなしに移動している。眩しい太陽、頬を撫でる爽やかな風‥‥そこは飛ばされる前にいた仮想世界013だった。

「帰って‥‥きた‥‥」

 リシャンは唇を噛みしめるが、

=感慨に浸るのは早いぞ=

「‥‥‥‥」

 青い着物を着たリシャンのような人影が宙に浮いて辺りを取り囲む。鎌を持ち、同じ服装をしてはいるが、顔が無い。のっぺらぼうな彼女達はリシャンを取り囲んだ。

=まずいぞ=

「‥‥あれじゃ、話は通じなさそうね‥‥」

=冗談を言っている場合では‥‥=

「!」

 一人の青のリシャンが鎌を振るってきた。その鎌を回避したが、そこに別のリシャンが鎌の先端で突いてきた。

「‥‥く」

 リシャンはそれを刃で弾くが、体勢が整わない間に二体のリシャンが同時に迫った。

「‥‥これは」

 一人の青リシャンの鎌は弾いた‥‥が、反対側の攻撃には間に合わなかった。

キン!‥‥という音の後、青リシャンの鎌が弾かれ、二体はリシャンから距離を取った。

「‥‥‥‥こんにちは」

「‥‥‥‥」

 そう言ってきた人物の顔を見たリシャンは、窮地を救ってくれたにも関わらず、顔を曇らせた。

「‥‥シャオティン‥‥」

「久しぶりですね、お二人とも‥‥」

「‥‥‥‥」

 リシャンとは逆に、シャオティンはニコと笑みを浮かべた。


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