↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
145/188

145 真実の扉を開く者

挿絵(By みてみん)

 塔の真下に着いたリシャンは、そこから真っ直ぐに見上げた。下からの俯瞰では先端は見えず、雲の中に突き刺さっているかのようだ。塔は雲の高さまではないはずだったが、その先端が見えないのは何かを隠蔽されているからなのだろう。塔を支える四方に伸びた支柱は大きく外側に歪曲しており、水平に近い手前からは、そのまま登れそうに見える、金属が露呈している部分はほとんどなく、蔦がはい回っており、わずかに見える部分も錆の腐食が激しく、元の色が何かは既に分からない。着物を揺らす程の風は吹いてはいるが、通りすぎていく風は不快だった。

「どこから入るの?」

 周りを一周してみたが、どこも蔦で覆われて、入口を見つける事が出来ない。

=さあな、俺はここまでは近づけなかった。何しろアレが邪魔してきたからな=

 レイブンが後ろを振り向く。そこは死屍累々‥‥意志を持たないアバターの抜け殻が折り重なって倒れている。あちこちにヘリの残骸が燃えていた。

=ここからシャオティンは乗り込んでいったわけだが‥‥=

「あいつが出来たなら、行けるはず」

 リシャンは鎌を上に上げ、手前の蔦を引き裂く。蔦は紙よりも簡単に裂け、奥に金属の壁が現れた。

「‥‥フン!」

 鎌を一振りしただけで、壁に亀裂が走り、リシャンが蹴とばすとそこには大きな穴が開いた。倒れた衝撃で砂埃が舞う。

=相変わらず下品な奴だな=

「どうでもいい事」

 リシャンは暗がりの奥へと進む。まだ塔の底辺部分で、作りは他の廃ビルと変わらない。あちこちに店舗だった場所が見える。

「‥‥‥‥」

 埃と植物をかき分けながら進むと、エレベーターだった所まで出る。もちろん動くはずはないが、リシャンは鎌の柄で扉をついて無理矢理こじあけた。

「これは無理そうね」

 あわよくば、この竪穴から一気に登ろうと考えていたが、穴全体が塞がっていた。

 階段とエスカレーターを歩き、十五階ぐらいまで上がった。その辺までくると地上から伸びている蔦の勢いは弱まり、割れた窓からは光が射し込んできて屋内は明るい。

「全く! 面倒!」

 鎌を大きく振ると、衝撃波が床の植物を一掃していく。

=お前は自分が今、ただのAIでしかないという事に、何か思う所はないのか?=

「思ってどうかなる? 私は私。他人から認めてもらう必要なんてないじゃない」

=‥‥そうか=

レイブンはリシャンのその飾り気の無い言葉に深く頷く。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。