143 お手柄の代償(新たなリシャンside)
ステッキの突きを、鎌で弾く。硬い金属音が鳴り響く。
「‥‥‥‥」
衝撃がズキ‥‥と、脇腹の痛みを思い返させる。
『ふふ』
クラリッサは敢えてリシャンの傷口を狙ってきた。ステッキを確実に弾いていたはずだったが、予期せぬ方向から別のステッキが狙ってくる。隠しパラメーターとして、腕が複数あるようだ。
「‥‥‥‥く」
一撃が傷口に突き刺さる。リシャンは吹き飛ばされて観覧車の支柱に当たった。
支柱が凹み、少しだけ傾く。
『あははは! 消えて無くなれ! この犬!』
歪んだ笑い声が空間に満ちる。リシャンは体を起こし、それからニヤ‥‥と笑った。
「ふふ」
手を突き出し、指先を手前にクイクイ‥‥と曲げる。
「いいから、かかって来なさいよ」
『こ、こ、こ、この‥‥馬鹿にして!』
クラリッサは同時に六本のステッキを飛ばしてきた。
「‥‥‥ふん‥」
その全てがリシャンの体を素通りしていく。そのまま宙を駆けて少女の前に立った。
『何っ!』
「それがあなたの限界みたいね、戻ってくるまで、ここにあなたの武器はない」
リシャンは鎌を掲げる。
「さよなら、多分、無期懲役かな」
『‥‥‥‥』
クラリッサの首が飛んだ。瞬間、白い閃光が空間を満たし、世界に色が戻っていく。
「‥‥‥ふう‥」
観覧車の屋根の上で腰をおろす。いつしか景色は見覚えのある日常の中へと戻っていた。
=お手柄です。ヴァイアスの幹部、クラリッサを確保しました=
「‥‥‥‥」
クロウが飛んできて、リシャンの座る屋根にとまった。
=クラリッサには今まで、何人ものエージェントがやられていますからね。これで管理局の活動がやりやすくなったというものです。さすがですリシャン=
「‥‥‥‥それはいいんだけどさ‥‥」
リシャンは唸り声をあげる。
=ああ、パラメーター異常が付加させられてましたが、もう治っているはずです=
「‥‥‥‥」
確かに傷はもう無かった。
「‥‥私に何か言う事があるんじゃない?」
=何をですか?=
「私を餌にした件」




