139 告白の根拠(新たなリシャンside)
‥‥まずい‥‥
何と俺は遠野さんの手を握っている。柔らかくて温かい、これが女の子の手‥‥逆に考えると俺の手も彼女に調べられてるという事。今、滅茶苦茶緊張してるから手汗とか出てたらどうしようか。気持ち悪いとか思われたら嫌だな。
それはそれとして、俺の目の前に遠野さんが座ってる。窓枠に手をついて横を向いて、外の景色を眺めてる。陽射しが眩しいのか、手の平で顔に影をつくっている。
スカートが短いので、座ってると見えそうだ。このままガン見していたい気もするが、それもおかしい、でも目を背けることが出来ない。
彼女のその一挙手一投足が、目に眩しい。
何か話しかけないと‥‥沈黙が気まずい。
何でもいい‥‥。と、言っても、何を話せばいい?
「‥‥‥‥」
何か手がかりがないかと、俺はバッグに手をかける。
「!」
が、今は絶対にあけてはならない‥‥なぜかそんな気がして手を引っ込めた。
「えっと‥‥」
天気の話とかじゃなくて、もっと気の利いた台詞とかいのか‥‥事前に考えてきたけど、本物の彼女を目の前にいたら、何も言葉が出てこない。
何でこんなに好きになったんだろうか。
分からない。分からないけど‥‥これは本物だ。本物の気持ちなんだ。
「遠野さんは‥‥」
言いかけたけど、それは違う。
俺達は付き合っているはず。だったら、そんな他人行儀な呼び方はしない。
だから呼び捨て‥‥名前だけを?‥‥ユズリハ‥‥駄目だ。恐れ多くて口から出てこない。
勇気を出せ。最初だけだ。一回言ってしまえば、それが普通になる。
観覧車はもう四分の一を移動している。終わってしまえばもう二人だけのこの空間はなくなる。
「ユズ‥‥」
「聞きたいんだけど‥‥」
俺の勇気の一言は、遠野さんの言葉で上書きされた。
「何?」
「私とあなたはほとんど面識がない、それなのにあなたは私が好きで付き合いたいと言った? その根拠は何?」
「‥‥‥‥」
彼女が身を乗り出してきたので、すぐ近くに彼女の真顔がある。そして聞いてると赤面してくるような事を言ってくる。




