131 深夜の遭遇(新たなリシャンside)
どうにも様子がおかしい。環境が変更された後はあるが、そこは侵入してきた者に対して自動的に反応するように組んであったに過ぎない。
「‥‥‥‥」
リシャンは鎌を下ろした。そんな罠もなくなり、辺りはクリーンな状態になっている。テロリストの反応もない。
「いくら何でも変じゃない?」
=おかしいですね。確かにこの座標なはずなんですが=
「‥‥‥‥で、私にこの任務が当てられたのはどういう事?」
=それは説明した通りです=
「ま、いいけど‥‥」
リシャンはくるっと歩いてきた方向に向きを変えた。
「どうやら、もうここには何もなさそうね」
=そのようです。そのうち、また動きがあるでしょう=
「随分、呑気なのね」
発着場から飛び降りる。
さっきまで出ていた月は、雲が重なって僅かに光が陰っている。
敷地の外に出る道すがら、リシャンの体が光り、着物姿から学校の制服姿に変わる。
青のセーラー服で、胸元の赤いリボンが目につく。
制服のまま夜道をひたすら歩いていく。10分も行けば、人通りのある所に出る。
=その姿で商店街に出るつもりですか?=
「何か問題でも?」
=この世界の倫理として、夜間に制服姿の女子が徘徊すると色々と問題があります=
「ああ‥‥そんな事」
リシャンはフフ‥‥と鼻で笑う。
「侮った者は、後悔させてあげる」
=いや、そういう事ではなくて‥‥=
「‥‥‥‥?」
拳を突き出したリシャンに、クロウはがくっと首をうなだれる。
=まあ、それはそれとして‥‥=
話しかけたクロウは言葉を途中で止めた。
公園内を斜めに渡っていた途中。二つの光にリシャンは照らされた。
「あー、君、今、何時だか分かってる?」
光源は懐中電灯を持った黒い制服を着た二人の男性だった。この世界では警察と呼ばれている犯罪者を取り締まる組織の一員のようだ。
「制服は、そこの高校生だよね。こんなとこで何してるの?」
「‥‥‥‥」
「名前は?」
「‥‥‥‥」
続けざまに質問されたが、リシャンは黙ったままだった。
「ちょっとそこの交番まで来なさい」
促されたが、その場から動かずにいた。




