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127 人を形作るもの(新たなリシャンside)

「人生の中で生きてきた過程で得たものが、その人になっていく‥‥」

 リシャンはその言葉を繰り返す。

 前に確かに何処かで言った事があるが、それが何処か思い出せない。

 特に緊迫した時でもなかった気もするが‥‥。

「‥‥‥‥」

 リシャンは頭を押さえて校門の鉄柵に寄りかかる。

 =どうしたんですか?=

「‥‥別に」

 校門を出て並木道に出た。

「何か前にも同じ事を言ったなって思って」

 =言ったんじゃないですか? リシャンの身体の不調が記憶障害を引きおこしているのかもしれません=

「そうかもね‥‥」

 クロウにはそう言ったものの、色々な事が引っかかっている。

 ただ普通に生活しているつもりが、ふとしたきっかけで知らない光景が頭の中に沸き起こってくることが多々あった。

 想像以上に様々な事を忘れているのではないか? それはとても重要な事なのではないのだろうか?‥‥リシャンはそう思う事で、常になく消極的になっていた。

 管理局は先日、リアル世界でテロリストの一人を拘束した。容疑者の自供で、この地域に歪みの原因となるプログラムを仕込んだとの事だった。小物だった事もあり、大した用件でもなかったが、リシャンのリハビリの一環として、その原因の特定を任務として指示されていた。

 いまだにそれが解明出来ていないのも、リシャンがそのような状況であった事が要因になっている。

 =気長にいきましょう。今は回復が最優先です=

「‥‥‥‥そうは言ってもね」

 =それより、どうするのですか?=

「何が?」

 =先ほどの男子生徒の事ですよ。あなたに告白してきました=

「ああ‥‥やっぱりそういう事」

 クロウと情報のやり取りをする為に、人目につかない場所という事で屋上に上がったが、認識阻害をしていたにも関わらず、それを超えて近づいてきた彼を、リシャンは最初はテロリストの残した罠の一環だと考えた。が、用心しながらも、話を聞いているうちに、何の関係もないただのAIである事が分かり、途端に興味がなくなった。

 彼の話では自分の事が好きだという事だったが、同じクラスメイトどいうだけで、全く話もした事のない者を、なぜ好きだと言うのか、全く理解出来ずにいた。


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