123 鉄と火の雨の中で
「趣味が悪いわね」
=アンチウイルスのガワとして、アバターのフレームを再利用している。AIは破壊してて、既に人間の思考はしていない。気にするな=
「するわけないでしょ!」
リシャンは鎌を横に振る。柄がどこまでも伸び、手前にいたアバターの男女の首をたて続けに五つ程刎ねた。分断されたアバターは光の粒になって消えた。
“UGA!”
「‥‥‥‥」
反対側の死角から襲ってきたアバターに、柄の先端を突き当てて弾きとばす。
同時に銃を乱射してきたが、鎌を回転させてそれらを弾いた。
“GOGA、GA‥‥”
弾かれた弾丸は跳弾となってアバターの体を貫いていく。
「もう! 面倒!」
鎌を大きく振る。衝撃波が集団を吹き飛ばし、とりあえずは静かになった。
=見事!‥‥しかし‥‥=
「‥‥‥‥」
風の音しかしなかった世界で、何処からか、ガラガラという機械音が響いてくる。
音の正体は建設用の重機だった。ブルドーザーや、打ち壊し用のハンマーのついた車、ショベルカー等、それぞれが先端にあるその鉄の塊を振り上げて走ってきた。
四方から潰そうとしてきたが、リシャンは鎌を上に上げた。
「‥‥‥‥そんなものでね」
鎌の刃が赤く輝きだす。
「エージェントを舐めるな!」
真上から振り下ろされたハンマーを、鎌は真っ二つに切り裂く。鉄の塊がリシャンの両脇に落下して、砂埃をあげた。同時にブルドーザーが両脇から急接近してきた。鎌を水平に一回転させると、ブルドーザーは上下に切断されて、動きを止めた。
=リシャン!=
「今度は何⁈」
上から音が聞こえてくる。
「まさか、戦闘機か何か?」
=いや。戦闘ヘリと言うものらしい=
「同じ!」
上から何かが飛んできた。リシャンは避けたが、地上に落下したそれは爆発して
周囲の建物を吹き飛ばした。
「‥‥燃料とかどうなってるの?」
建物の陰に隠れる。レイブンも続いてきた。




