118 命じられた平穏(新たなリシャンside)
「‥‥‥と、言われてもね‥‥‥」
何がなんだか分からない。
格好はゆったりとしたワンピースのパジャマで、髪もおろしている。
「‥‥」
突き出した腕に鎌が現れる。リシャンは落ちる前にその柄を掴んだ。
=体は構築されたばかりで万全ではありません。エージェントとして活動出来るのはまだ先の話ですね=
「‥‥‥‥そう」
手を離すと鎌が消えた。そのままベッドに腰を下ろす。
「じゃあ、私は何をしてたらいいの?」
=それについては管理局から指示があります。当分の間、指定の座標で過ごすようにとの事です=
「過ごす? それだけでいいの?」
=はい、環境設定は全てやっておきますので、リシャンはただ普通のAIとして、他のAIと接してください=
「‥‥‥‥何でそんな事を‥‥」
疑問に思ったが、その気持ちはすぐに消えた。
何か意味があるのだろう。
「了解」
足を振って立ち上がる。
「‥‥で、何処に行けばいいの?」
=地方ですが、それなりに大きな街があります。そこで学生として通学してください=
「は? 学生?」
=あなたは年相応のコミュニケーションスキルが欠如していますので、そこで学んでください=
「私の何処が!」
=‥‥そういう所です=
クロウは事前に飛び退いている。
「指示ならやるけどね」
=‥‥そうしてください=
バサバサと降りてくる。
=管理局の指示は絶対です。今度こそそれを守ってください=
「今度こそ?」
=いえ、こっちの話です=
クロウは、トットッ‥‥と、ベランダまで歩いていく。
=指示通りにしていれば危険な事はないんです。だから、絶対に余計な真似はしないでください。もう私は嫌ですよ=
「‥‥‥‥分かってるけど?」
管理局の指示は絶対‥‥それは当たり前の事。今さら言われる事でもないが、なぜかクロウはそれを強調してきた。
=では行きましょうか。今日がリシャンの新しい人生の出発です=
「?‥‥大袈裟ね」
リシャンとクロウは光に変わって青空へと飛んで行った。




