↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
108/188

108 無音の交差点

「‥‥‥‥」

 どれぐらい時間が経ったのか‥‥リシャンは仰向けに倒れていた。気が付いた時に思った事はそこに地面がある事だった。

 さっきまで海の上にいたはず。

「‥‥‥‥」

 倒れたという事は真上を向いているという事、それなのに、空が見えない。

 見えているのは‥‥動きの止まった灰色の雲。

「‥‥‥‥」

 起き上がって辺りを見渡す。

 辺りは薄暗い。前にいたビルの乱立していた街によく似ているが、どれも崩れかけていて、人は誰もいない。

 手に当たる感触は石に似ているが、平でもすべすべもしていない。崩れて、ひび割れたアスファルトだった。

「‥‥‥‥どういう事?」

 まさか歪みが発生した結果、世界が崩壊した? 

 強制ログアウトされたなら死んでいるか、本部の体に戻されているはずで、こうしてリシャンとして存在しているのはおかしい。

「クロウ!」

 呼んでみたが、その声は反響してどこまでも流れていくだけだった。

「‥‥‥‥」

 とにかく状況が分からない。

「こういう時は調査が基本」

 判断材料が少ない。ここで何かを断定する事は出来ない。

「‥‥‥‥」

 大通りのスクランブル交差点に出た。信号機や、大きな電光掲示版‥‥どれも見覚えがある。

「‥‥まさか!」

 途中で止まったままの車をまたいで走っていく。奥にある店はやはり来た覚えのある店だった。

 緑の看板のコーヒーショップ‥‥奥のテーブルに座って、テロリストの容疑者を尋問した記憶がある。

「‥‥‥‥」

 間違いなく、ここは仮想世界013。だが、この変りようは何なのだろうか?

 AIや、アバターがいなくなっている。それだけでなく他の生き物の姿もない。疑似的な気象も全て止まっている。

 世界が崩壊したのかもしれない。 

「‥‥‥‥馬鹿じゃないの⁈」

 そう考えてしまった自分にその言葉は向けられた。

 絶望するにはまだ早い。

 全てが終わったわけではないのは、何よりの証拠として、こうしてアバターが存在している。

「クロウ! いないの?」

 もう一度呼んでみるが、何も声は聞こえない。

 こんな時はあのとぼけた声がたまらなく聞きたくなる。

「‥‥‥‥ふん」

 リシャンは日の登らない街を歩いていく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。