106 箱庭の影
「フフフ‥‥あは‥‥旧タイプには負けないからね、先輩!」
「‥‥‥‥」
鎌の回転を止めて、笑いながらシャオティンに鎌の刃を向ける。
シャオティンは少しだけアゴを引いて黙ってリシャンを見つめた。
「あなたにとって私と戦う意味は何? 任務だから?」
「それは違うかもね」
リシャンは鎌の柄を肩で担ぐ。
「‥‥では何の為?」
「私がそうしたいから」
「‥‥‥‥」
シャオティンは眉をひそめる。
「それなら、あなたの意味は自分の愉悦の為だと?」
「まあ、それでも構わない」
低姿勢に鎌を持ち、話しながらも少しづつ距離を詰めていく。
「つまりは‥‥」
倒れる直前まで前傾して、その勢いでシャオティンの正面まで近づいた。
「あんたが大っ嫌いって事!」
「それは良かった、それなら意味があるから」
「何を!」
シャオティンの首を狙って大きく横から振る。
「‥‥」
シャオティンは笛で受け止めようとしたが、勢いを殺しきれずに足元の地面に突き刺さる。
「‥‥いける!」
前回戦った時、壁を叩いているようで、こちらの攻撃は全く届かなかった。だが今は全く違っていた。
「‥‥‥‥」
リシャンの瞳が光る。
シャオティンの動きの一挙手一投足が、コマ送りのように見える。笛の先端で突きをいれてきたシャオティンの攻撃は、水の中で振っている棒のように、かわすのは簡単だった。
「これが‥‥」
抜き手をしてきたシャオティンの手を膝と肘で挟んで止める。身動きの取れなくなったシャオティンに向けて、鎌の柄の先端でシャオティンの脇腹をついた。
突かれた彼女は、着ている服をなびかせながら地面に転がった。
「‥‥‥‥」
シャオティンは立ち上がって笛を構えた。
=リシャン、今のそのステータスは一時的な貸与ですから。あまり乱雑には使わないでください。その力そのものが歪みの元になってしまいます=
「分かってる」
シャオティンは真っ直ぐにリシャンを見ている。攻撃は命中したはずだったが、全くその痕跡が見られない。
「なかなかタフなのね」
「‥‥‥‥」
表情の無かったシャオティンが僅かに口の端を上にあげた。
「‥‥‥‥ムカつく奴ね」
鎌の刃が朱色から赤、深紅へと変わっていき、刃から炎が上がる。その炎は刃の部位を飛び出し、炎だけで巨大な刃を形作った。
その刃の色が赤から白へと移っていった。




