103 この地を歪ませる者
「何!」
「!」
艦内の通路で兵士と出くわす。兵士は予期せぬ侵入者に対して咄嗟に拳銃を抜いた。リシャンは小銃の銃口をその兵士に向ける。
銃声が艦内に響いた。
二発の音が一つに重なる。
「‥‥‥‥」
「‥‥‥‥」
兵士はニヤと笑った‥‥が、その表情のまま廊下に倒れた。
「‥‥‥‥」
リシャンは脇腹を押さえて床に腰を落とした。
今度のは完全にまずい。
恐らくはそう長くはない。
「‥‥‥‥」
リシャンは笑って廊下を上下に渡してあるパイプを掴んで立ち上がった。
いよいよ、ここで命の使い方を決める必要がある。
だが、それはとっくに決めている事だ。
「‥‥‥‥」
手すりに掴まりながら進んでいく。点々と落ちていく血の跡は、今まで歩んできたリシャンの人生、そして意志の証のようにも見える。
「‥‥‥‥全く」
悪態をついて艦の頂上‥‥艦橋を目指す。
狭い階段をゆっくり、ゆっくりと昇っていく。
運が良かったのか、誰に会う事もなく、艦橋の扉の前にたどり着いた。
傷口を押さえていた手を離し、鉄の重い扉を押し開く。
「‥‥‥‥」
周囲は窓になっており、外が見渡せるようになっている。その下には無数の計器。よくある古い時代の艦の艦橋だ。
「‥‥‥‥?」
足元に兵士が倒れている。もちろんリシャンが倒したのではない。あちこちに視線を巡らせてみれば、そんな兵士が四人、そして正面の椅子にいたのは。
「‥‥‥‥バジラフ‥‥王‥‥」
王は確かにそこにいた。だが、両手をだらりと下に垂らし、腰は今にも椅子から落ちそうになっている。椅子の周りはここの兵達と同じように赤い池で囲まれていた。
王は死んでいた。何者かの手によって。
その犯人は‥‥側に立っている。
「‥‥‥‥こんにちは、リシャン」
オレンジの花を髪に差した黒ずくめの女性‥‥シャオティンは小首を傾げながら笑顔を向けた。
「もう少し早く来ると思ってたけど、随分な姿になってるわね。どうしたの?」
「‥‥‥‥なぜバジラフを殺した?」




