第2話 粗大ごみシール 3/8
浴室から出て、バスタオルで体を拭きながら、フェイスタオルを1枚取り出し、ワゴンの天板の上に敷いた。
「どうぞ」
「ありがと」
チハルさんは洗面器の中で立ち上がると、羽根を高速で動かして飛び上がり、タオルの上に降り立った。
「わ、タオルのパイルって、体がこのサイズだとこんなにデカく感じるのね。ほら珠美、見て。指入っちゃう」
「何よ、指入っちゃうって」
「なに反応してんのよスケベ。処女こじらせすぎよ」
「ちょっと! チハルさんに言われたくないんだけど! 1年延長してるくせに!」
「延長じゃないわよ! ラスト1年を活かせなかっただけよ!」
「いや、もう、どう違うのかわかんないけど」
「あんたもなっちゃえばいいのよ、妖精に」
タオルで髪の毛の水分を拭きとりながら、聞こえないふりをした。
妖精ね……なったらなったで、別にいいいかも。
髪の毛も体もすべて拭き終えて、下着をはく。
「私のはまだよね? 当然」
「あ、服? うん。待ってて。あとで乾かすから」
「いいわよ、女同士だしね。とりあえず裸で」
「いや、それはちょっと、こっちが嫌だから……はい。これにくるまっといて」
チハルさんはこちらが差し出したタオルハンカチを全身で受け取ると、肩で羽織り、胸の上で折り込んだ。
「ん、まぁ、そんなに重くないし、いっか。ありがと」
「いいえー」
返事をしながら、化粧水のキャップを開けた。
20分後、チハルさんの「ま、なんとかなるって。とりあえず明日は休みなんだから、ゆっくりしなさい。休みよね?」という言葉を聞いて、心の底から「夢でありますように」と祈りながら眠りについた。
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目が覚めた。
手で枕の横辺りを探ると、スマホに触れた。時間を見ると7時30分。
スマホを伏せると、視線の先に妖精がいた。
はぁ……いる。
夢であってほしかった。そしてそれは今でも思っている。
今日丸一日終わってからでもいいから、夢オチ来てくんないかなー。
妖精を眺めながら、そんなことを考えていた。
妖精は、昨夜寝る前に渡したタオルハンカチにくるまって、私の枕元でスヤスヤと寝息を立てている。
ところどころはだけており、胸元や太ももがあらわになっている。
……いやセクシーだな。スタイルいいじゃん。
無防備な寝顔は可愛らしく、とても異性と縁がなかったとは思えない。
そういう意味じゃあ、私だってそこまで見た目が悪いわけじゃないと思うけど。ま、タイミングよね。男の人とそういうことになるのなんて。
具体的にどのような手順で、その段階に至るのかはよくはわからない。
無論、映画やドラマ、漫画、アダルトコンテンツなどで、そのようなシーンを見たことは何度もある。だからいつだって想像はできる。
明かりのない部屋の中で2人だけで、抱き合ってキスをして。
……えーと、そんでなんだかんだあって、服は脱いでて……
いざ自分が、と考えると、いったい何がトリガーになってそのような「流れ」に乗るのかがわからない。
そしてその「流れ」に、身を任せることができるのかどうか。安心して身を任せることができる人なら、とてもありがたい。
で、ベッドの上で、お互い裸で朝を迎える、と……
妖精があらわにしている素肌を見て、もし自分がこんな姿を人に見せていたら、と想像する。
自分の裸かー。見られるのは恥ずかしいけど、相手も裸なんだし、それはそれでちょっと嬉しかったりするのかな。




