第11話 値引きキムチ 2/6
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ここみちゃんが連れてきてくれたお店はかなりの人気だった。
18時前には到着できたが、それでも私たちが座れた席が最後の空席だった。
安く飲めて全席禁煙。
周りを見ると20代がほとんどのように見えた。
大学生とも思える男女も多い。
ここみちゃんとふたりなので、そこまで抵抗なくいられる。
「ご来店ありがとうございます! まずはお飲み物うかがいます!」
可愛らしい女の子の店員が席に来た。
「じゃあ、とりあえずビールにしますか?」
「うん」
「生ふたつとー、食べるのも、今、いいですか?」
「はい! お先ドリンク生2丁お願いしまーす!」
「はいよー」
「てきとうに頼みますね。ポテトサラダと、本日のカマ焼き、どて煮、でいいですか?」
「最高」
「じゃあ、とりあえず以上で、お願いします」
「かしこまりましたー!」
店員が立ち去るとすぐにビールが来た。
「おつかれさまでーす」
「おつかれさまー」
グラスを合わせて、ふたりでビールで喉を潤してから話を始めた。
「ここみちゃん、今日は抑えめにしようね。明日も飲むんだし」
「わかってますって! しかも明日は会社の金ですもんね!」
「そうそう。本気で飲むのは明日にしよ」
「いや、飲むのに本気出さないでくださいよ」
「いいじゃん」
「ダメです! 早川主任に取られたらどうするんですか!」
え、どうしよう。
「まぁそれは、山本課長がどうするかによるじゃん」
「いや、ほんとに、山本課長のこと、どうですか?」
「どうって……そりゃ、悪くはないんだけど」
「しかも、彼女いないっぽいんですよね?」
しばらく前の映画館での会話は、あの日からすぐにここみちゃんに伝えていた。
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「仲良いんですね」
「どうだろうね。悪くはないと思うけど……」
「いっつも一緒ってわけではないんですね」
「うん。あいつ、彼女いるしね」
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「……いないってことでいいと思うけど」
「まぁその辺は明日聞けばわかりますよ」
「き、聞くの?!」
「そりゃそうですよ。この1か月で彼女できてない保証なんてないんですから。もう12月ですよ」
「まぁ、そうかもね」
「そういう話ができちゃうのが、部署飲みですよ! いやーいい時期に入ってくれましたね、早川主任。山本課長を取る気がないならもっといいんですけど」
「あのさ、それは別にいいんだけど、結局どうなの?」
「なにがですか?」
「いや、私と、山本課長が、なんか合いそうっていうのは」
「んー……」
「お待たせしましたー! ポテサラと、どて煮でーす」
「あ、追加でいいですか?」
「はい! どうぞ!」
ここみちゃんがメニューを私にも見せながら言う。
「えっと、ブリと、ヒラメ、赤貝と、須藤さんは?」
「……じゃあ、コハダと、ヅケまぐろで」
「ありがとうございます!」
愛想のいい店員が去っていくと、ここみちゃんが話を続けた。
「ごめんなさい。えっと、なんで合いそうかっていうとですね」
「うん」
店内はとても賑やかになっている。
若い客層のせいか、落ち着いた雰囲気とは言えない。
「すごく雰囲気が似てるからです」
「いや、んなベタな理由で」
「あのですね。これって結構大事だと思います」
「なんで?」
「まずひとつが、どっちかが無理しなくて済むっていうことです。外に行くのが好きっていう人と、家にいるのが好きっていう人が付き合ったら、あんまりいいことないじゃないですか」
「まぁ、そうね」
「山本課長って、勝村課長とは仲良くて、よく一緒にいるっていうことは、たくさんの友達とワイワイやるのが好きっていうより、気の合うごく限られた人といるのが好きっていうことじゃないですか? それって、須藤さんもそうですよね?」
「まぁ、そう、ね」
「あと、須藤さんも山本課長も、服とか鞄にそんなにお金かけないタイプです」
「私はそうだけど、山本課長も?」
「はい。絶対そうです」
ここみちゃんの話は、ところどころ根拠がないように思うが、それが気にならないくらいの不思議な説得力がある。




