第8話 鶏むねチャーシューと手羽唐 3/4
「あぁ~! なかなか頑張ったね~」
「ほんとですね~」
ここみちゃんとふたり、更衣室でねぎらい合う。
1時間の体験トレーニングは想像していたよりも過酷だった。
普段使わない筋肉を酷使したので、爽やかな疲労感がある。
『結局、ほんとに筋トレしただけだったわね、あんた』
……なんで残念そうなのよ。
チハルさんの言うように、今日は周りの人を意識して、欲情するということはなかった。
普段しない筋トレに、相当集中したからだろうか。
『まぁ私は楽しかったからいいけどね。あんたが欲情してジムにいられなくなったら、私も出なきゃいけないしさ』
チハルさんはトレーニングする男の筋肉を何度も触りに行っていた。
フロアにいる男をひと通り楽しんだあとは、その中で気に入ったふたりを集中して堪能していた。
私も、そんなチハルさんを見ていたわけだから、筋トレに励む男性は、当然見ている。
それでも、やはり欲情しなかった。
……やっぱりマッチョに対しては一定の嫌悪感があるのかしら。
「こりゃ今日の酒はおいしいわ」
「いいじゃないですか。須藤さんなら昼からでも飲んじゃいそうですね」
「昼飲みかー」
最高ね。
しっかり運動して、疲れた体にお酒が沁み渡るわ。
「どっか行きたいとこある?」
「え?」
ここみちゃんが驚いた様子で聞き返した。
ちょっと待って。もしかして。
「え? 一緒に行かない?」
「え? そう、でしたっけ?」
いや、そう言われると、決めてない気がする。
「いやぁ、なんか、当たり前にそのつもりでいちゃった」
「ご、ごめんなさい! 今日お昼は無理なんです! お母さんとお昼ご飯の約束してて」
「いやいや! 私の方こそごめん! 決めてないまま、勝手に思い込んでたんだから」
本当にここみちゃんに非はないんだけど、まいったな……
完全に昼飲みスイッチ入っちゃったんだよね。
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ここみちゃんとは駅の改札を通ったあと別れた。
私は自宅に戻る方面のホームへ行き、ここみちゃんはその反対側の電車に乗った。
『あれ? こっち乗るの? 飲みに行かないの?』
「うん。ひとりで行く感じじゃなくなったから、家で飲むわ」
ホームに立つ私の周りに人がいないので、声に出して答えた。
『なに飲む? なに食べる? やっぱりせっかくだからタンパク質食べる?』
「なによ、タンパク質食べるって」
『筋トレしたあとは、鳥の胸肉とかがいいんでしょ?』
「……そうねー。あとは、卵とか、ブロッコリー? そうだ。そろそろ煮玉子、新しいの作らないと」
『あ、ブロッコリーのおかか梅肉和え食べたい!』
「おー、いいねー」
電車が来たので乗った。
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