第3話 2種のハーブソーセージ 6/6
『ちょっと! 歩くなら出るわよ! 出してよ!』
電車から降りるとすぐに、大きく揺れるバッグの中でチハルさんが抗議の声を上げた。
「ご、ごめん」
彼女は鞄から飛び上がり、肩に乗った。
『なによ、慌てて』
「……後で説明するわ」
『ま、ならいいけど。今度からは立つ前に起こしてね。勝手に寝ててごめんだけど』
「うん。そうする」
『休日の外出も、残りは家までの道だけかぁ……お買い物して帰るの?』
「うん。そうね。安いのあれば買っときたいし」
最寄り駅の近くのスーパーがすぐ目の前にある。
半額の刺身にはここ数日出会っていないが、まだ午後4時にもなってないことを考えると、今日も無理だろう。
「いらっしゃいませー」
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「ありがとうございましたー」
『えらい変わったもの買ったわね』
「……ほんとね」
見かけたら、手に取るしかないものだった。
いや、むしろ「これを買いに来た」とさえ言えるものだった。
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【300円晩酌】
2種ソーセージ、200円
冷奴にネギショウガめんつゆ、30円。
小松菜オイスターソース炒め、40円
焼酎ハイボール1本、110円
合計380円
オーバーしてんじゃん……
帰宅してすぐに例のコトを終え、出来上がった料理を前に、チハルさんが不思議そうに声を上げた。
「えらい変わった組み合わせねー」
「ほんと、そうね」
生返事をしながら、電車で見かけた大学生2人組を思い出していた。
どうしても忘れられなかったようだ。
……私、頭おかしいんじゃないの?
子持ちシシャモだの2種ソーセージだの、欲情して晩飯決めて性欲発散して酒飲むのか、私は。
「オカズがおかずになるってか、まいったね」
思わず口から出てしまった。
「あ、やっぱりそうだったんだ。おかずっていうかつまみだけどね」
「ほんとだね」
「軽い気持ちでつまみ食いすればいいのよ、男も」
「はいはい。チハルさんも、私が処女捨てたら自分に生かしてね」
「うっさいわね、ひとりでしたくなっても部屋の外で待っててあげないわよ」
「……ごめんなさい」
「うむ。じゃあ、食べよ! 幸先いい門出に乾杯よ!」
「そ、そうね! 早く処女捨てて、チハルさんも自由にしなきゃね!」
「お! その意気よ!」
ふたりでリビングに入った。
半日歩いた疲労した体に、酒が沁みわたりそうだった。
第3話 おわり




