第3話 2種のハーブソーセージ 5/6
日曜日の午後、自宅に向かう電車は空いていた。
すべての乗客が座席に座っても、空席は十分にあるほどだ。
私は横に長い座席の端に座り、チハルさんは私のバッグの中で寝ていた。
電車に乗ってすぐ、私の肩の上でウトウトとしてしまい落ちそうになったから、仕方なく入れたのだ。
スヤスヤと眠る妖精へ向けていた視線を正面に上げた。
とんだ休日だったな……
男運、ちゃんと調整入ってくれないと、明日からの会社が心配すぎるわ。
電車の窓の外を流れる景色はいつも通勤のときに見ているはずだが、昼間の晴れた空と少ない人影が、いつもとは違うものに見せてくれた。
向かいの席には年配の男性がひとり座り、文庫本を読んでいる。
その横で中年女性がふたり、それぞれの家庭の事情について小さくない声で話している。
別の座席では大学生くらいの男ふたりが並んで座っていた。
ひとりは眠っているようで、目をつむり、もうひとりの男の肩に頭を乗せていた。
……仲良しだな。
もうひとりの男は肩に寄りかかられていることを意に介さないように反対側の手でスマホを持って見ていたが、そのスマホをズボンのポケットに入れた。
その動作は、限りなく最小限だった。
できるだけ肩を動かさないように、隣の友人の睡眠を邪魔しないように、腕だけを動かすことを心掛けている動きだった。
その瞬間、体中に桃色の電流が走った。




