第3話 2種のハーブソーセージ 2/6
「わー、結構作ったねー」
「……ほんとね」
部屋のテーブルにできあがった料理を運んでいたが、改めて見ると、作りすぎていた。
明らかに300円以内には収まっていない。
砂肝の唐揚げ
手羽元とカブの甘辛煮
シシャモ焼き
冷奴
冷やしトマト
半熟煮卵
今さら気付いたが、同居人がいるからといって2人前作る必要はなかった。
この体の大きさで人並みに食べるわけがないのだ。
「ま、いいわ。余ったら明日以降に持ち越すから。それに、昼夜で実質2食分だしね」
「そうね、まだ土曜日だし」
「お酒はなに飲む?」
「珠美とおんなじのでいいよ。私だけで1缶も空けらんないし」
「じゃあー、焼酎ハイボール! ……シークヮーサー味!」
「いいねー!」
午後2時、昼飲みを始めるには最高の時間だった。
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11月8日 日曜日 午前11時
結局昨日はチハルさんとダラダラと飲み続けて、1日を終えていた。
ダラダラはしたが、後悔はしていない。
それぞれがオススメする映画や歌手の映像を見て、いろんな話ができた、充実した1日だった。
特に嬉しい発見として、2人の映画への向き合い方が似ていたのだ。
やたらと話しかけたりしない。
どちらかがトイレやキッチンに立つと一時停止する。
必要なことは最小限聞いたり答えたりする。
好きな映画のジャンルこそ違ったが、観方が近かったのはかなり居心地がよかった。
チハルさんが好きな映画はアクション、好きな歌手はK-POPアイドル。
私が好きな映画はコメディ、好きな歌手はハロプロ。
ハロプロのライブを誰かと一緒に見たのは久しぶりだったわね。
「チハルさん、まだ? そろそろ行くよ」
「はーい、オッケーよ」
妖精が飛んで私の肩に乗った。
なんで私より準備に時間かかるんだろ……
ドアを開け、マンションの廊下を歩く。
ドアの外はすぐに屋外になっているタイプのマンションの6階。
エレベーターに向かって歩いている途中、周りに人がいないことを確かめたチハルさんが話し出した。
「どこ行くの?」
「んー、決めてない」
「そうなのね」
チハルさんはあっさり受け入れた。
「それでいいの?」
「うん、知らない街見るのも楽しいじゃん」
「そう言えば、チハルさんはどこに住んでたの?」
「わかんない」
「わかんない?」
「うん、そういう、個人が特定されそうな記憶は消しちゃうんだってさ、妖精になるときに」
「へー、ライフは覚えてるのに?」
「ライフは全街にあるのよ」
「ないわよ」
まぁ、特定されるほどの情報じゃないってことね。
「忘れないうちに、姿消しといてよね」
「はーい」
「……オッケー?」
『うん』
「ありがとう」
エレベーターが着いた。




