第3話 2種のハーブソーセージ 1/6
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須藤珠美の29歳の誕生日に、突如現れたひとりの妖精チハル。
チハルは「この1年で処女を捨てないと、あんたも妖精になるのよ」と言う。
果たして珠美は30歳を迎えるまでに処女を捨てることができるのか。
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スーパーでの買い物の帰り、思いがけずコンビニで欲情してしまった。
昼飲みの買い物を終えて、マンションの前で妖精と別れ、自宅へと急ぐ。
さっさとこのムラムラした気持ちをスッキリさせたい。
結構テンション上がってるから、そう時間はかからないはずだ。
玄関を開け、靴を脱ぎ、ベッドに行くまでにベルトとファスナーを外す。
「うし!」
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ことを済ませ、衣服を整え、窓を開けた。
しばらく待ったが、妖精は姿を見せない。
道に迷った?
そんなわけないわよね。
それか、どの部屋かわからないとか?
とりあえず買ってきたものを冷蔵庫に入れたり、昼食の用意をしながら待つことにした。
そして5分ほどすると、チハルさんがリビングの窓から飛んで入ってきた。
「窓、ありがとね。待った?」
キッチンに立つ私のところまで飛んで来てきいた。
「待ったってほどじゃないけど、なんかしてたの?」
「いやー、珠美とさっきみたいなこと話してたら、私もしたくなっちゃってね。公園でしてた」
「そ、そうなのね」
「いやーこんな体だから、外でもできちゃうのよね」
「そうね。取りあえず、手洗ってよ」
「ちょっと新しい世界見た感じだったわ」
「手洗ってよ!」
「へーい」
洗面所に向かって飛ぶチハルさんの後姿を見ながら、考え込んだ。
ひとりでするのも慣れたし、嫌いでもないんだけど……ここまで持て余してたかな?
自問していると洗面所からチハルさんの声がした。
「あ、そうそう、今男運ボーナスがかかってるって話したけど、性欲もその分増してるから気を付けてね」
今さらそんなこと言うのか。
「……そっか、気を付けるね」
でもちょっと安心した。
コンビニのレジの人と手が触れただけで欲情しちゃうのが通常運転じゃなくて。
「まぁ、気を付けてもどうもなんないんだけどね」
でしょうね。
意味のない補足には返事をせず、改めて買ってきたものと、冷蔵庫の中身について検討することにした。
「さて……どうしようかな」
「あ、昼飲みだよねー! なににすんの?」
とても嬉しそうなチハルさんの声に、無意識に口元が緩む。
「なにか食べたいのある?」
「うーん、とりあえずさ、なんか揚げ物ほしいよね。家飲みとは言え、必須じゃん?」
「チハルさん……」
「なに?」
「料理あんまりしないって、さっき言ってたけど、本当なのね」
「な、なによ」
「揚げ物ってね……自宅でするもんじゃないの。油たくさん使うわ、片付け大変だわ、だからせっかくなら1回で多めに作ろうと思うけど食べてるうちに飽きるわで……魅力的なのはわかるけど、ハードル高いのよ!」
「そっかぁ……じゃあ揚げ物はなしね」
「ただし! 休日は別! 平日はできないからこそ、今日はやる!」
「わーい」
「砂肝切って唐揚げにしよっかな」
「おぉー。手羽元は?」
「甘辛く、照り焼きっぽくする」
「めっちゃ酒のアテだね」
「カブはどうしよう。なんか希望ある?」
「手羽元と一緒に照り焼きにしちゃえば?」
「……なるほど……いいかも」
「あ! シシャモあるじゃん!」
「……そうなのよ」
金曜日の帰り道、駅で欲情したことを思い出した。
その思い出を振り払うように、ブラウスの袖をまくり、料理を始めた。




